安全管理のデジタル最前線 AIソリューション「SpectA KY―Tool」

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SpectA事業開発部の石塚貴章氏

 SOLIZE Ureka Technology(東京都千代田区)の提供する安全管理特化型AIソリューション「SpectA KY―Tool(スペクタケーワイツール)が、「施工現場の安全対策強化」と「業務の効率化」を両立するツールとして活用されている。  最大の特長は、画像からAIが分析しリスク対策を提示できることと、これまで紙ベースで行われてきた安全パトロール、ヒヤリハットに関する報告などをスマートフォンやタブレットで完結できる点だ。システム開発を担当するSpectA事業開発部の石塚貴章氏は「現場での作業中に危険箇所を見つけたら、写真を撮り、音声入力でメモを残すだけで、報告書を自動的に作成できる。これにより、事務所に戻ってからの面倒なデータ転記作業が不要となり、安全パトロールの報告書作成にかかる時間は約3分の1にまで短縮した事例もある」と優位性を説明する。  その上で「画像からリスク事象の発生要因と対策案をAIが提示することで、リスク対策の質を高め、報告されたデータは自動的に蓄積され、過去の事例を簡単に検索・共有できる。ベテランの経験やノウハウがデータとして可視化され、経験の浅い若手社員でも安全意識を効果的に高めることができる」と強調した。  蓄積されたデータはAIによって分析され、過去の災害事例を基にリスクを自動で抽出・提案することで、経験や勘に頼らず質の高い安全管理を実現する。さらに、現場で働く人のモチベーション向上に焦点を当てている点も特長だ。  石塚氏は「報告された危険事象に対して『ありがとう』や『いいね』といったリアクションを送る機能は、ネガティブになりがちな報告行為を『組織の安全に貢献する良い行動』へとポジティブに捉え直す文化を育てる。また、良い取り組みを共有する機能も備えており、現場の努力が正当に評価される仕組みを構築できる」と話す。  SpectA KY―Toolは、現場の声を取り入れながら日々進化を続けている。建設現場特有の課題に対応するため、ネットワーク環境が不安定な場所でも利用できるオフライン機能の開発を最優先で進めているという。また、将来的な展望として、XR技術との連携も進めており、VRでの安全教育コンテンツと組み合わせるなど、テクノロジーを横断的に活用した独自ソリューションの構想もあるようだ。この多角的なアプローチこそが、他社にはない付加価値を生み出していく。  「事故をなくしたい」というニーズと、「現場の非効率な作業を減らしたい」というニーズ。この両方を満たせる「SpectA KY―Tool」への注目が集まっている。(東京支社ビジネス開発事業部=大西正太)