山本建設 建設発生土の活用で液状化軽減へ 静岡理工科大と共同研究
静岡
人為的に液状化を発生させ「再生改良土」の効果を検証
2024年の元日に発生した能登半島地震では、強い揺れにより地盤が傾斜・沈下したことで、幅広い地域で液状化現象が発生した。液状化は、住宅や電柱の沈下を引き起こすだけでなく、水圧に耐えることができなくなった地下埋設管を地上へ浮き上がらせてしまい、公共インフラの復旧を大幅に遅延する要因にもなっている。南海トラフ地震の切迫性が高まっている中で、山本建設(三島市)は静岡理工科大学理工学部土木工学科の中澤研究室と共同で、埋設管を埋め戻す際に建設発生土を利用することで浮き上がりを抑制する対策の研究を進めている。液状化被害を少しでも軽減しようと研究を重ねる両者の取り組みを追った。(沼津支局=藤井泰誠)
台風15号が接近し悪天候に見舞われた9月5日、山本建設の本社敷地内で埋設管の埋め戻し時に建設発生土を用いた公開実験を行った。液状化の現象を発生させ、埋設管の浮き上がりにどのような効果があるのかを検証した。
実験では通常の砂と、建設発生土に鉄鋼スラグなどの添加物を混ぜ合わせた再生改良土により埋設管を埋め戻した後、人為的に液状化現象を引き起こした。その結果、通常の埋め戻し砂では液状化による埋設管の浮き上がりが確認できたものの、再生改良土では埋設管の浮き上がりの幅が少なく、再生改良土の一定の効果が示された。
今回の実験では埋設管の浮き上がりを抑制する成果を得ることができたが、実用化に向けて超えるべきハードルもいくつか存在する。公共工事で採用されるためには、再生改良土の品質が一定水準以上であることを示されなければならず、品質の担保が課題となるだろう。また、改良土の使用に当たってコスト面の課題も考えられる。実証実験を重ねることで南海トラフ地震対策として有効性がより一層、証明されれば、工法が普及されることも十分に考えられる。
公開実験で進行役を務めた山本建設の鈴木啓太総務部長は、実家が石川県にあり、地震発生時には帰省していた。被災現場を目の当たりにし「このような被害が二度とあってはならない」という思いを強く持ったという。「建設発生土の改良材を使うことによって、残土の処分に困っている地域にとって課題の解決にもつながる。一石二鳥の取り組みになれば」と今後の展開に期待を寄せている。
