東京圏 住宅地、商業地とも堅調 25年地価調査

東京
 2025年7月1日時点の基準地1平方㍍当たりの地価(土地の価格)が公表され、東京圏は住宅地で3・9%、商業地で8・7%それぞれ上昇した。住宅地は5年連続、商業地は13年続けての上昇となった。土地の価格からは市場の底堅さがうかがえるものの、開発用地の不足や建築費の高騰、建設現場の人手不足といった要因を背景に、計画を見直す事業もあり、先行きの不透明感は色濃くなっているとの指摘も聞かれる。  東京圏の住宅需要は、利便性の高いエリアを中心に引き続き堅調だった。東京都区部の住宅地は8・3%上昇(24年6・7%上昇)した。千代田区11・8%上昇(同8・8%上昇)、港区13・7%上昇(同9・2%上昇)、新宿区12・7%上昇(同8・7%上昇)と、商用開発と競合する地域で旺盛な需要が地価の押し上げにつながった。また、台東区の13・4%上昇(同7・2%上昇)など、インバウンド需要が見られるエリアも急伸した。  住宅地の最高価格は「港区赤坂1ノ14ノ11」(住居表示)の1平方㍍当たり643万円で、15・6%上昇(同6・1%上昇)。19年以降、7年連続で全国最高価格地点となった。  商業地は店舗やホテルの需要が底堅い。東京都区部の商業地は13・2%上昇(24年9・7%上昇)した。オフィスは都心部などで空室率が低下し、賃料は上昇傾向が続き、収益性が向上しているという。商業用途の土地でもマンション需要と競合するエリアでは地価の伸びが目立つ。再開発事業が進展している地域では利便性や繁華性に対する期待感が地価上昇の後押しに寄与している。  商業地の最高価格は「中央区銀座2ノ6ノ7」(住居表示)にある明治屋銀座ビル。1平方㍍当たりの価格は4690万円で、11・4%上昇(同5・0%上昇)。06年以降、20年連続で全国最高価格地点となった。  「市場を映す鏡」と言われる地価。日銀がマイナス金利政策を解除して約1年半が経過した。建築主からは融資環境が厳しさを増しているといった声がある。不動産の業者間取引現場では折り合いが付かずに成約に至るまでの期間が長期化している事例もあるという。これまで以上に市場の先行きを注視する必要がありそうだ。  ※都道府県地価調査…国土利用計画法施行令に基づき、都道府県知事が毎年7月1日における基準地1平方㍍当たりの価格を調査して公表する。国が行う地価公示とともに一般の土地取引価格の指標とされる。