建築施工管理技術検定の対策講座 明星大学
東京
日建学院立川校で開かれた対策講座
明星大学建築学部の1級建築施工管理技術検定第1次検定対策講座の取り組みが2年目を迎えた。2025年度は受講生88人が受検し、66人が合格。合格率は75・0%となった。全国平均の合格率は48・5%で、24年度の39・1%と比べて上がっているものの、対策講座はそれを大幅に上回る成果となった。西澤秀喜教授は「企業の技術力を証明する施工管理技士、建築士などの取得は建設業に就職すれば必ず求められる。在学中の資格取得は就職活動の強力な武器になる」と話す。
国土交通省は施工管理技術検定の受検要件を24年に緩和し、19歳以上であれば学歴要件や実務要件がなくても1級技術検定の第1次検定(旧学科試験)を受検できるようにした。技術者の高齢化や若年入職者の減少といった建設業が抱える課題に対応したもので、これにより1級施工管理技士の資格取得は最短で22歳になった。また、21年の建設業法改正では第1次検定合格者は「施工管理技士補」という新たな国家資格を取得し、1級施工管理技士補を現場に配置すれば監理技術者が2現場を兼任できるようになっている。
企業にとって即戦力となる1級施工管理技士補の資格はニーズが高く、大学在学中に取得できることに着目した西澤教授は、日建学院立川校と協力して24年4月から1級建築施工管理技術検定第1次検定の資格取得支援に動き出した。
対策講座は、19歳を迎える3年生を対象に、日建学院立川校で4月から7月まで毎週土曜日の午後に開催。受講料は全12回で3万3000円(税込み)。類似コースの通常料金の10分の1程度という価格設定。金曜日の夜間には西澤教授が登壇する無料講座を開き、過去問の演習と詳細解説を実施した。これにより、前期の必修科目である月曜日の講義「建築施工管理」と合わせて建築施工管理に関する講義を、受講生は週3回受けることができる。
1年目の24年度は、受講生54人のうち38人が合格し、合格率は70・3%。本年度は受講者数、合格率ともに前年度を上回る成果を出した。
日建学院立川校を運営する建築資料研究社立川支店の柳茂支店長は「1次検定受検資格の学歴要件撤廃により、文系学部の学生も受検することが可能になった。将来は文系出身の現場所長が増えることも想定し、準備を進めていきたい」と受検者数の増加を期待する。
西澤教授の授業では、建設業に就職した研究室OB、OGが就活体験談や、実際に働いてみて感じたことなどを語る場がある。学生との接点を持てることはリクルーターのOB、OGにとっても利点があり、好循環になっている。西澤教授は「資格への挑戦は、就職活動のエントリーシートで学生のアピールとして使える。また若年層の資格取得支援は、業界の技術者制度を支えるとともに担い手確保を後押しするもので、双方にメリットがある」と確かな手応えを感じている。