ゼロワンブースターが清水建設の社内起業家プロジェクトの独立法人化を支援

中央

左=ゼロワンブースター 川岸亮造さん 右=清水建設 榊原勲三さん

 企業の新規事業創出を支援するゼロワンブースター(東京都千代田区)が、清水建設(同中央区)の社内起業家プロジェクト(以下、社内新規事業)の独立法人化を支援した。DXを推進する新会社「セコナレ」を設立し、現場の人手不足や煩雑な資材手配業務に対応していく。セコナレは、清水建設の現場担当社員が社内起業家制度に発案したアイデアをもとに、ゼロワンブースターが立ち上げから事業化まで伴走した。  ゼロワンブースターは、企業の新規事業開発やイントレプレナー(社内起業家)支援、スタートアップの育成に特化した企業。200社以上の企業や自治体の新規事業を支援してきた実績を持つ。カーブアウトやスピンアウトなど、従来の社内起業制度では難しかった事業化プロセスを後押しする手法に強みを発揮している。建設業界で独立法人化を手掛けるのは珍しく、同社の知見が生かされた事例だ。  今回、清水建設の社内新規事業の独立法人化を担当した、ゼロワンブースターの事業責任者の川岸亮造氏は、「大企業の枠組みの中で新規事業を育てようとすると、承認や調整に時間がかかり、スピード感が失われやすい。独立法人化することで、市場での検証を早期に進められる」と話す。  一方、清水建設もこのスキームに期待を寄せる。清水建設イノベーションセンタービジネスデザイングループの榊原勲三氏は、「社内に抱えたままでは検証が進みにくい領域もある。スピンアウトやスピンオフで市場に投入することによって、社内外の知見を掛け合わせながら自由度高く進められる」と説明。ゼロワンブースターの支援を得ることで、社内新規事業に新たな広がりを持たせている。  新会社として設立したセコナレは、清水建設の現場監督出身の社員が立案した。現場出身者ならではの視点で、現場負担の軽減と効率化を目指したプラットフォームを作成。ゼロワンブースターは設立に際し、ビジネスモデル設計や資金調達計画、初期パートナー探しなどを支援した。「社内のリソースが限られる中、現場から生まれたアイデアを事業化まで伴走してくれる存在があるのは心強い」と語る榊原氏。年内のサービス本格始動を視野に準備を進めている。  ゼロワンブースターは今後、セコナレとの協働を継続するとともに、他のゼネコンや異業種企業へのカーブアウト支援も広げる方針。「大企業から生まれる新規事業は、社会課題解決と直結するものが多い。建設業界でも新たなモデルケースを積み上げることで、業界全体の活性化に貢献できる」と話す。清水建設も「自社のノウハウを閉じ込めず、社外に広げていくことが建設業全体の変革につながる。セコナレはその第一歩」と語り、産業全体への波及効果を期待する。(東京支社ビジネス開発事業部=徳田光紀)