学生のホンネ~2025~⑤横浜建築高等職業訓練校
神奈川
本村さんは山口市であった全国の若手大工が技能を競う大会に県代表の一人として出場した
働きながらでも高い建築の技術と技能を身につけることができる職業訓練校。これまで1200人以上の大工職人を育成し、輩出してきた横浜建築高等職業訓練校で、大工職の基礎を学ぶ訓練生、本村陽香さんに話を聞いた。
大工職人としては、「ゼロからのスタート」であった。何をするにも、何かになるにも初めはゼロではあるが、職人になることは将来の職業選択肢の中には全くなかった。
大学では経済学を専攻。就職活動を進める中で、「これをすると時間を忘れることって何か」を考え始めた。「そうだ、モノづくり。木が好き。木に関わるモノづくりをする職人になろう」と、その後の就活は建築業に絞った。職人として採用してくれる会社はなく、門前払いの日々。心が折れそうなときに決まったのが、現在勤めている工務店(KONARA HOUSE)だ。「最初は断られた」と笑いながら、採用当時のことを振り返る。
大工職人歴ゼロであったこと、職場の先輩からの勧めもあって同校に入校。職場と同校で大工職の基礎を学ぶ日々を過ごしている。「職場環境も良く、訓練校では年齢の近い人に囲まれて技術、技能を学べている。充実している」。
一方で、大工職に就いて4年が経ち、思うところ、発信したいことがあると言う。それは、「職人の社会的地位の向上」だ。少子高齢化から建設業従事者は減少していくことが容易に予想できる。「一般の人に職人の仕事を理解してもらえてないと痛感している。それでは皆に憧れ、誇れる職業になるわけがない。単価を上げるにしても、消費者に理解してもらうことから始まると思います」。業界をいろいろな形で、広くアピールしてほしいし、アピールしていくことが必要だと強く思っている。
9月13~15日に山口市であった全国の若手大工が技能を競う大会に、神奈川県代表の一人として出場。今は、9月27日に行われる訓練校の「建前(たてまえ)披露」公開実習に向けた作業に取り組んでいる。「組み上がったら、上棟式・餅まきをしますので見に来てください」。(横浜支局=菅谷一志)