住宅建設技能者の確保 社員大工化で就労環境改善求める
四国
国土交通省は、住宅分野の建設技能者確保に向けて、一人親方から社員大工化への転換を促進すべきとする報告書案をまとめた。正規雇用によって月給制や週休2日制、適切な保険加入を進め、安定した就労環境を整える。若年層から選ばれる業界や職場を実現する狙い。
住宅建設技能者の持続的な確保に向けた有識者懇談会で、報告書案として提示した。
社員大工化の推進は、業務に繁閑の差があり、継続的な雇用が難しいことや、住宅建設技能者を個社で育成するには時間が掛かるなどの課題がある。こうした課題には、施工管理や事務作業を担わせる「多能工化」や、複数社が共同して研修や教育を実施することで対応する考え。
住宅建設技能者としてのキャリア形成の見える化も必要とした。入職後に働き続けるには、就労環境の改善に加え、将来の年収や独立も見据えた次のステップなどの見通しが持てることが重要とし、実際の住宅建設技能者のキャリアを参考に、モデルケースを検討・提示することを求めた。
担い手の裾野を広げるために、これまで入職が進んでいない女性や外国人が活躍できる環境を整えることも重要だとした。体力や言語が異なるため、どのような工法や工程であれば能力が十分に発揮できるかを検討する必要もあるとした。
一方で、こうした就労環境や育成環境の変化、担い手の裾野拡大は、小規模な工務店が対応するには限界がある。このため、M&Aによる企業の大規模化や経営の多角化など、地域工務店の経営基盤を強化する方策も検討すべきとした。
今後、報告書案に示した考え方を実現するための「住宅建設技能者の持続的確保に向けた中長期ビジョン(仮称)」を策定し、具体策を盛り込む。検討委員会を設置して年度内にたたき台を作成し、2026年度にも策定する。