杉並区 前払金一律「4割」へ 入・契制度見直し
東京
杉並区役所
杉並区は、昨今の急激な労務費・物価高騰への対策として入札・契約制度を見直す。主な見直し点は「工事請負契約における前払金」と建物清掃や施設管理といった長期継続契約に係る「労務費の変動を反映した契約金額」の2点。前払金はこれまで、一定の契約金額を堺にそれぞれ定めていた算定式を統一し簡略化、2026年4月1日以降に発注する案件から適用する。
前払金は、工事請負業者の着工資金を確保するとともに資金調達に伴う金利負担の軽減や資金繰りの改善、労働者・下請企業などへの早期支払いの確保といった効果があり、円滑な資金調達のために欠かせない。
ただ、近年の建設資材・人件費の高騰は事業者が資金調達する際の大きな負担となっている。このため、契約金額2億5000万まではその4割を、また、2億5000万円を超える契約ではその前払金に、超えた部分の2割を足した分を支払う現行の算定式を見直し、契約金額に関わらず「一律4割」とする。26年度の発注工事から適用する考えだ。
一方、長期継続契約に係る労務費についても、最近の急激な上昇に対応するため契約金額の変更ができるよう運用を改める。対象となるのは通年で継続的・日常的にサービスの提供を受ける建物清掃や施設管理、受け付け業務などの役務で、機械警備やシステム保守は対象外。
こうした業務はこれまで、契約期間内の労務費の上昇分を見込んで契約しているため仕様の変更などを除いて金額の変更はせずに運用してきた。ただ、昨今の急激な労務費の高騰に対応するため、運用を見直すことにした。25年度以前に締結した契約では、本年度に生じた労務費の上昇分について対応する。また、26年度以降の上昇分についても労働報酬下限額か最低賃金が適用される労働者の賃金の上昇率に対応して契約金額が変更できるようにする。さらに、26年度以降に新たに締結する契約にはスライド条項を適用し適切な価格転嫁を行う。