横浜市 商業地域などで条件緩和へ 駐車場の附置義務制度
神奈川
横浜市都市整備局は駐車場の附置義務制度について、小規模ビルが集積する商業地域などで適用対象となる建物の延べ床面積を2000平方㍍以上に緩和する。現行は1000平方㍍以上が対象で、駐車場の供給過多や土地利用の制約を受ける要因となっていた。事務所や倉庫・工場を適用外とするなどの見直しも検討中。パブリックコメントを実施して2026年第1回の市会定例会に条例改正の議案を諮り、26年7月の全面施行を目指す。
市では1963年に駐車場条例を制定。一定の要件を満たす建築物を新築・増築・用途変更する場合に、駐車場を敷地内に設置することを建築主に義務付けている。
制定当時は路上駐車の解消や道路交通の円滑化を目的としていたものの、現在では交通網が発達し、自動車の保有台数が減少傾向にあるなど環境の変化が生じている。駐車場の供給過多への対応や土地・建物の有効活用といった視点から、現行基準の緩和を図りたい考え。
駐車場の附置義務が生じる建物の規模については、百貨店やホテル、飲食店、病院といった「特定用途」に当たる部分の床面積に「非特定用途」の床面積×0・5を足して算出。市内6カ所の駐車場整備地区と商業地域、近隣商業地域では合計1000平方㍍以上を対象としているところ、2000平方㍍を超えた場合に適用するよう基準を引き上げた。
駐車場の供給を抑えるとともに、1階のショーウインドーや、店舗の開口部が増えてにぎわいが生まれるなどの効果を期待している。
商業地域などではさらに、「特定用途」の対象とする建物から事務所と倉庫・工場を除外。「非特定用途」の学校・保育所や診療所、福祉施設なども附置義務の適用外とする。鉄道駅周辺の業務系施設では従業員や来客による駐車場需要が減少していることが背景にある。
この他、駐車需要が減少している地区で設置義務台数の算定基準である「原単位」を緩和したり、既設の建物でも駐車場の利用実績に基づいて附置義務台数を緩和できる基準を追加したりすることを検討中。隔地への駐車場設置を認める範囲を現行のおおむね300㍍以内から500㍍以内に拡大するなどの緩和も行うことで、地域の実情に合った対応を可能にしたい方針だ。