国立劇場PFI再整備 建設企業と個別対話、年度末にも3度目公告へ

東京
 日本芸術文化振興会は9月26日、国立劇場のPFI再整備に関わる実施方針の概略を公表した。新劇場の想定規模を5万3700平方㍍程度とし、民間収益施設の提案は必須条件にしない。また、物価変動に伴う施設整備費の改定などに応じる。質問の受け付けと回答は行わないものの、建設企業とは個別に対話する予定だ。12月ごろに正式な実施方針を公表し、2025年度末にも特定事業に選定して3度目の総合評価一般競争入札を公告する考え。26年度に事業者を選んで27年度に事業契約を結び、約6年半の設計・建設期間を経て33年度の再開場を目指す。53年度までの20年間にわたる維持管理も任せる。  国立劇場(千代田区隼町)の再整備は、既存施設の抜本的な老朽化対策や伝統芸能の伝承・創造機能の強化などを図るために実施する。PFI手法(BTO方式)を導入し、既存施設の解体と新劇場の整備や一定期間の維持管理を民間に手掛けてもらう。  民間収益施設の合築を必須条件にするなどして22~23年度に事業者を選ぶ入札手続きを2度実施。ただ、いずれも不成立に終わったため事業計画の見直しを進めていた。香山建築研究所(文京区)とEY新日本有限責任監査法人(千代田区)がアドバイザリー業務を担当している。  今回公表した実施方針の概略によると、新劇場の想定規模は劇場部分(4万7930平方㍍程度)と地下駐車場(5770平方㍍程度)で合計5万3700平方㍍程度とし、これまでの5万6500平方㍍からわずかに縮小した。客席数はこれまで通り▽大劇場=1450~1550席▽小劇場=550席程度▽演芸場=300席程度―を確保するものの、大劇場についてはVIP対応席の設置を予定していることから変更の可能性があるとしている。また、劇場内に「舞台付きレストラン(仮称)」を新たに設けて飲食とともに芸能を楽しめるようにする。  民間収益施設の提案は必須条件とせず、事業者の自由な判断に委ねる。物価変動に伴う施設整備費の改定はスライド条項(全体、インフレ、単品)を適用して対応。維持管理費も「企業向けサービス価格指数」や「毎月勤労統計調査賃金指数」などが一定以上変動した場合に改定する予定だ。  3度目の入札手続きも建設や維持管理などの各業務に当たる企業にグループを組んで参加してもらう予定でいる。