名古屋市24年度決算 市バス5年ぶりに黒字化

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 名古屋市監査事務局は、2024年度決算審査意見書を公表した。このうち公営企業会計では、上下水道局の水道事業は21年度以来の黒字(4億円)、下水道事業は2期連続の赤字(▲11億円)だった。交通局は、市バスが19年度以来の黒字(0・5億円)、地下鉄は3期連続の黒字(96億円)となった。  水道事業は黒字化したものの、経常損益段階では赤字(▲15億円)で、特別利益(過年度損益修正益など19億円)があったのが最終黒字化の要因。  下水道事業は2期連続の赤字により、未処理欠損金(9億円)が生じている。  上下水道局に対する総括意見では、10月から水道料金を平均10%、下水道使用料を平均11・5%引き上げる料金改定により、一時的に収支の改善が見込まれるものの、人口減少局面による水需要の減少傾向や施設の老朽化対応、上下水道施設の強靱化に取り組む必要があるなど、経営環境は今後ますます厳しさを増すのが予想されると指摘。強靱かつ安全で持続可能な上下水道を目指し、安定的な経営基盤構築に努めるよう求めた。  交通局事業は、市バスの未処理欠損金は357億円、地下鉄は同1872億円が残る。  総括意見では、市バスが5年度ぶりに黒字化したものの、一般会計からの不採算路線等に対する財政支援や地下鉄事業からのバス事業運営費負担金などの経営基盤強化策に支えられている面も大きいと指摘。また、乗車人員全体では新型コロナ感染症の影響前の水準に近づきつつあるも、敬老パスを利用した乗車人員は依然として低い水準にとどまっていると指摘。特に乗車人員の2割以上を敬老パスによる利用が占める市バス事業での運輸収益に与える影響も大きいとした。地下鉄も計画的な維持管理や施設のリニューアルを進めていく必要がある他、可動式ホーム柵の設置や耐震対策などの安全性向上への取り組みも求められているとした。財源の確保に向けて国や愛知県に対して引き続き要望を行うとともに、事業運営の省力化・効率化にさらに取り組むことなどを求めた。