近畿地整 和歌山建協と意見交換 公共事業予算の継続的かつ安定的確保を
大阪
国土交通省近畿地方整備局と和歌山県建設業協会(中井賢次会長)との意見交換会が9月25日、和歌山市内で行われた。協会は、「和歌山県内における京奈和自動車道や第二阪和国道などの大規模道路事業が完了したことから、紀北地域の国直轄事業が大幅に減少した状態が続いている。また、幹線道路ネットワークの拡充として、調査段階にある和歌山環状北道路や京奈和関空連絡道路の早期事業化を」と、公共事業予算の安定的かつ継続的な確保を求めた。整備局も予算確保の必要性を認識しているとした上で、「そのためにも着実に予算の執行を進めることが重要」と述べた。また、和歌山都市圏の道路整備については、「京奈和自動車道の延伸や関西国際空港とのアクセスについては、大阪府や和歌山県など関係自治体と連携してネットワーク整備の検討を進めていく」と事業化に向け積極的に取り組んでいく姿勢を示した。
近畿地方整備局企画部の野坂周子部長は、今年1月に発生した埼玉県八潮市での道路陥没について触れ、「建設業の皆さんの現場と向き合う姿に尊敬の念を抱き、(国土交通省の職員の)自分としてすべきことがあることを強く認識した」と述べた。また、今年6月に閣議決定された第1次国土強靱化実施中期計画や、8月に公表された国土交通省の2026年度予算概算要求について、「強靱化予算については実行要求という形で、予算編成過程で検討することになっており、年度ごとに必要性を訴えていくことが重要だ。近畿地方整備局としては、国土強靱化予算はもとより、当初予算をしっかり確保していくことが大切だと考えている。建設業界の皆さんの力添えが必要だ」と協力を求めた。
中井会長は、「建設業を通じて地域に貢献していることを誇りに思っている」とした上で、「後継者問題や事業量の問題、さらに(入札契約制度など)仕組みの変化への対応などに苦慮している」と地方の建設業が直面している課題を訴え、「中でも事業量の問題はこれらの根本にある」と強調し、安定的な公共事業予算の確保を求めた。
今回の意見交換会で協会は①公共事業予算の安定的かつ継続的な確保と国土強靱化のさらなる推進②総合評価方式の入札および競争参加資格③工事の発注④工事費の積算⑤和歌山河川国道事務所の対応―を議題に挙げ、意見交換した。
このうち「総合評価落札方式の入札および競争参加資格」については、災害活動に関する加点の再考を求めた。近畿地整は、「加点対象の拡大や配点のバランスを見直すなど改善を図っていく」と説明した。
協会はこの他に、ISO9000シリーズの認証取得に要する労力や費用が負担になっていることを挙げ、「近年は加点項目に採用されることが少ない。採用を増やすか、評価項目から削除してほしい」と求めた。近畿地整は「ISO9000シリーズの重要性は認識している。適当な現場従事技能者の職種がない場合や予定価格が低い場合の評価項目として設定している」として制度の理解を求めた。
意見交換会を終え、中井会長は「改善策が提示されても、実際には実現できないこともある。その隙間を埋めていくために意見交換は有効だ。これからも互いの立場を尊重し合いながら、指導をいただきたい」と締めくくった。