学生らに新たな知見を オープンカンパニーでうだつの町並み活性化のプレゼン

四国
 建設業界では人手不足の課題が深刻化している。学生らの就職活動が最盛期を迎える中、「参加者に新たな知見を持ち帰ってもらう」を主眼に置いた未来型オープンカンパニーを開催している企業がある。ここでは徳島県美馬市に本社を置くエス・ビー・シーの取り組みを紹介する。  9月27日に行った「オープンカンパニーINうだつ2025」は、参加した学生が、うだつの町並みの歴史や現状を知り、まちの活性化に向けたプレゼンテーションを行う学習型の参加体験イベント企画。事前に同社がドローンを飛ばし、点群データを取得し作成したうだつの町並みの仮想空間(メタバース)に対して、学生らがアバターを作成し、その仮想空間のデータを持参しながら、現実のまちなみと仮想空間を交互に調査する。仮想空間内には、まちの歴史や課題についてのクイズがちりばめられ、現実の空間にあるヒントや史実を知りながら回答、探索する。さらに課題解決、まちの活性化に向けた改善・提案をまとめプレゼンテーションする一連の流れ。プレゼンテーションでは、①説明性②実現性③親和性④効果⑤独創性―を審査員が評価する。また歩測の正確さを競うイベントも同時に開催するなど、測量の基本を学ぶとともに最新の測量技術を体験してもらう企画だった。  参加者は県内外の高校生や大学生ら24人。初めて顔を合わせた学生らが6班に分かれ、まちを歩き回りながら協力し、まちの活性化に向けての提案に挑戦した。参加した学生は「こんなに楽しい体験ができると思っていなかった。すごく貴重な経験になった」と笑顔を見せた。  木村充宏社長は「企業を知るだけでなく、インフラ技術を体感することで業界への理解を深めるとともに自分の自信や財産につながる知見を持ち帰ってほしい。近い将来の進路選択に役立ててほしい」と話す。  人材確保に向け、同社では2015年から学生への会社や仕事の理解促進を目的にオープンカンパニー制度を導入。その効果は、社員数が導入以前の52人と比較し、現時点で100人弱と約2倍。そのうち若手社員が約40%を占め、新卒採用の定着率は約85%となっている。  学生が参加することで、「学べる、楽しい」と思ってもらえる、ひと味違った企業紹介が、人材確保のカギを握っているのではないか。(徳島支局=村上周平)