高松で労務費の基準説明会 「もらって払う」商習慣が必要

四国

高松市で開かれた労務費の基準説明会

 国土交通省四国地方整備局は9月26日、12月の改正建設業法施行に合わせて導入する「労務費の基準」についての説明会を高松市で行った。労務費の基準の作成の考え方や実効性確保について周知し、「もらったら払う」ではなく「もらって払う」商習慣をサプライチェーン全体で作り上げることが必要との考え方を示した。  説明会は発注者と建設業者それぞれに対し、会場とオンラインを併用しての形式で行い、最新のワーキンググループで合意した内容を盛り込んだ。労務費の基準の作成の考え方については、「あくまで適正な労務費の水準の目安」とし、個別の請負契約は、現場状況と作業内容を踏まえ、「作業に対応する公共工事設計労務単価」に「歩掛と施工数量」を掛けて労務費を算出するとの方法を示した。  労務費の実効性確保に向けては「契約段階での適正な労務費の確保(入口の実効性確保)」と「労務費・賃金の適正な支払いの担保(出口の実効性確保)」の二つの側面から対策を講じるとした。  入口の実効性確保については、受注者に労務費・必要経費の内訳を明示した見積書を作り、注文者はその見積書を尊重することがポイントとした。  出口の実効性確保は、建設業者が技能者と適切に雇用契約を結び、「CCUSレベル別年収」に応じた適正な賃金を支払うことが重要とし、その支払いを会社任せにせず、契約当事者や技能者など、さまざまな角度から担保することをポイントに挙げた。  建設業者に対しては「労働者に払う賃金の原資は競争の対象にしないという認識を持ってほしい」と呼び掛け、「労務費などを内訳明示した見積書での価格交渉や、自主宣言を行う取引先の優先選定など、新たな商習慣を定着してもらいたい」と要望した。  発注者に対しては「安ければいいという認識ではなく、パートナーシップを持って労務費を払ってほしい。見積書に記載された労務費や必要経費を値切る行為は建設業法違反になりうる」と注意喚起した。  この説明会は、8月19日の大阪を皮切りに全国10ブロックで行われ、今回の四国開催が最後となった。