23区清掃組合 施設整備費 26年度505億円、27年度671億円

東京

施設整備費の見込み

 東京二十三区清掃一部事務組合は2025~27年度の財政計画で、施設整備費が25年度の270億円から26年度に505億円、27年度には671億円へと大幅に増加するとの見込みを示した。物価の高騰や労務単価の上昇が続く中、平成初頭に建設した多くの清掃工場が建て替えなどの更新時期を迎えていることを要因に挙げた。老朽化に伴う維持補修などの工場等運営費も25年度が558億円、26年度が550億円、27年度が556億円と横ばいで推移するとしている。  施設整備費を年度別に見ると、25年度の当初予算では、既に契約済みの▽江戸川清掃工場、北清掃工場の建て替え▽新江東清掃工場の延命化▽中防不燃・粗大ごみ処理施設の整備―の他、渋谷清掃工場の未取得用地の取得などにかかる経費を計上した。  また、世田谷清掃工場を建て替えるため限度額698億8880万円の債務負担行為(26~33年度)を設定。設計・施工者を選ぶ総合評価一般競争入札の手続きを進めており、26年3月4日に開札する予定だ。  26年度は新たに渋谷清掃工場の延命化に要する経費を計上。26~27年度に9・85億円を予算措置するなどして、28年度までの3カ年で完了させる予定でいる。  27年度は豊島清掃工場の延命化で10・14億円、多摩川清掃工場の建て替えで1・17億円を新たに計上。豊島清掃工場の延命化は30年度、多摩川清掃工場の建て替えは35年度以降の完了を予定している。 【27年度予算は過去最高に】  予算の全体規模は25年度の1046億円が26年度に1265億円まで増え、27年度には過去最高の1459億円に達すると予想。清掃工場の建て替え・維持管理などの経費が増え続ける一方、自主財源の廃棄物処理手数料や電力エネルギー売り払い収入の大幅な増収は見込めないとしている。  増大する施設整備費に対応するため、積極的な経費削減と財源確保に取り組む方針。前例にとらわれることなく事業を見直し、清掃工場の整備手法や管理運営の在り方についても検討を進めていく。  具体的な取り組み例には世田谷清掃工場の建て替えに関する仕様の見直しがある。床面積を縮小したり、煙突の外筒を再利用したりすることにより、当初の予定から工事費総額を93億1000万円削減した。工場ごとに状況が異なるものの、他の工場の建て替えでも同様の対応が可能かどうか検討する。また、25年度の当初予算では委託内容を精査することで1億8930万円、設備の耐用年数の見直しにより2億0370万円のそれぞれ削減を実現した。