防衛省 WTOは原則「金銭的保証」 10月1日入札公告から試行
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契 約保証の見直し内容
防衛省は、10月1日以降に入札を公告するWTO基準額以上の工事について、施工者が倒産した場合の契約保証を見直し、金銭的保証を原則とする。これまで採用していた役務的保証による事業者の負担を軽減し、入札参加を促す狙いだ。一部地方防衛局では、配置予定技術者の資料提出を開札後に求める方式も10月から試行する。
これまで採用していた役務的保証では、事業者と防衛省が契約不適合特約を締結し、施工者が倒産した場合や工事を継続できなくなった場合に、損害保険会社が代わりに工事を完成させる企業を探すか、請負代金額の30%以上を金銭的に補填するか選ぶ必要があった。
役務的保証は、損害保険会社しか対応できず、施工者の信用状況を評価して設定する与信枠を長期間圧迫してしまうため、施工者にとって負担になっていた。
また、防衛省の発注ロットが拡大し、JVによる受注が増加したことで、倒産による工事請負契約の不履行リスクが低下したことや、これまでに役務的保証の請求実績がないことから、役務的保証を原則として取りやめる。10月1日以降に発注するWTO基準額以上の工事では、原則として、金銭的保証を採用する。保証金額は請負代金額の30%以上。
ただ、9月30日までに発注されたWTO基準額以上の工事のうち、予算の関係上、分割発注するものについては、10月1日以降に発注する工事でも役務的保証を採用する。工事完了時期を遅らせることができないなど、特段の事情が認められる工事についても役務的保証を採用する。
WTO基準額未満の工事は、従来通り金銭的保証を採用。保証金額は請負代金額の10%以上で変わらない。
■技術者資格に関する資料 落札候補者のみ提出
この他、防衛省は、契約保証の見直し以外にも、入札に参加しやすい環境を整える施策を導入する。10月1日以降に公告する入札では、参加表明の段階で技術者の資格要件に関する資料を求めない方式を試行する。試行するのは、北関東防衛局、南関東防衛局、近畿中部防衛局の3局のみ。
現行、配置予定技術者の資格要件に係る資料は、一般競争参加資格確認申請書と同時に提出する必要がある。一方、参加表明段階では配置予定技術者を決められず、入札に参加できない事業者が多い課題がある。こうした状況を踏まえ、開札後、落札候補者のみに、配置予定技術者の資格要件に係る資料の提出を依頼する。