労災保険 807者、5771万円で徴収不足

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 会計検査院は、2023年度から24年度にかけて、全国の建設事業者807者から合計5771万円の労災保険料を徴収できていなかったとして、厚生労働省に関係する事務の是正を要請した。前年度に終了した工事の確定保険料を元請けが申告していなかったり、事務所作業に従事する労働者の保険関係成立を届け出ていなかったため、徴収漏れがあったとし、厚労省に事業者への周知徹底を求めた。  事業者は毎年度、概算保険料を都道府県労働局に納付し、翌年度に確定保険料を申告して過不足分を精算する。工事現場で働く労働者の確定保険料の申告は元請けが行うこととなっており、前年度に終了した複数現場をまとめて「一括有期事業報告書」に記載し、申告することとしている。  会計検査院が、確定保険料の申告が不適切な恐れのある全国1050事業者を調べたところ、このうち480事業者で徴収額が合計4153万円不足していたことが分かった。元請けとして請け負った工事を報告書に記載せず、過小な金額で確定保険料を算出していた。  また、382事業者では、事務所作業に従事する労働者の保険関係成立を届け出ていなかったり、労災保険料を適切に算定していなかった。これにより、徴収額が1618万円不足していたという。  指摘を受け、不足額の大半は徴収決定の処置が取られたものの、労働局側の周知に誤りがあるとして事業者の同意が得られていない事例もあるという。