認知機能の低下にも注意 エイジフレンドリーガイドラインの指針化へ修正点を議論
中央
厚生労働省は9月29日、高年齢労働者の労働災害防止対策に関する検討会を開き、現行のエイジフレンドリーガイドラインを法律に基づく指針に格上げするに当たり、事業者が実施すべき対策など、修正すべき点について議論した。
検討会の冒頭では、検討会委員でもある、明治安田厚生事業団体力医学研究所の甲斐裕子副所長らが、加齢に伴う身体機能の変化がもたらす影響や、企業が取り組む高年齢労働者労働災害防止策の好事例などについて説明。
甲斐副所長は、加齢による体重減少や身体機能・認知機能の低下、疲労などが引き起こす「身体的フレイル」の状態にある高年齢労働者は、仕事が要求する身体能力との差が大きいほど労働災害リスクが高くなるとした上で、筋力トレーニングなどに取り組める職場環境づくりが重要と指摘した。
委員からの説明後、現行ガイドラインが高年齢労働者を雇用する事業者に求めている、安全衛生管理体制の確立、職場環境の改善、高年齢労働者の体力の把握、高年齢労働者の体力に応じた対応、安全衛生教育などについて、内容を再検討した。
高年齢労働者の体力の把握については、筋力やバランス保持力だけでなく、感覚機能・認知機能の低下も労働災害につながるといった指摘があり、記載内容を拡充すべきという意見があった。
筋力やバランス保持力についても、各企業が実施する健康診断などでは測定できないため、簡便な調査票が必要という意見があった。
また、熱中症対策の強化や、降圧薬や睡眠剤などの医薬品に関する健康教育、ヒヤリハットの職種別分析による労働災害の予防策検討が重要との意見も上がった。