川崎市 学校包括管理の全市展開へサウンディング調査

神奈川

川崎中学校。全市展開の場合176校が対象となる

 川崎市教育委員会事務局は、麻生区で2024年度から試行している学校施設の包括管理業務について、市域全体への拡大を検討している。5月に開催したPPPプラットフォーム意見交換会には15者が参加。市は今後サウンディング調査を実施し、順調に進めば26年度にも事業者を公募する方針だ。  麻生区では、小中学校24校の包括管理業務を和光産業(川崎市川崎区)に委託している。業務の対象は、施設の不具合対応や施設の巡回、維持管理、破損や故障などが見られた箇所の修繕の他、建築物や各種設備、遊具、昇降機、プール設備などの点検、トイレや窓ガラスの清掃、樹木の剪定や草刈りなど。契約期間は27年3月までの3年間。  学校施設の包括管理を全市へ展開するに当たり、エリア分けや契約年数などの事業規模、対象業務などの課題を検討するため、民間事業者の意見を集めた。  PPPプラットフォーム意見交換会では、対象エリアを「全市一括」とする意見と「2~3のエリアに分ける」という意見に分かれた。エリアを分ける場合、エリアごとに対応が異なる部分が生まれ、市内事業者の負担が増えるという懸念がある。一方、全市一括では包括管理業務を担当できる事業者が限られるという声もあった。  契約年数は5年または5年以上とし、長期契約では物価上昇リスクがあるとした。  業務範囲は麻生区と同様の事業範囲の他、自家用電気工作物点検や機械警備、カーテン清掃、建物総合管理、害虫駆除、廃棄物処理などを含めた方がいいとする意見があった。反対に含めない方がいい業務として、自家用電気工作物点検や建物総合管理、学校用務業務が挙がった。  また「スケールメリットが出ず、市が修繕状況を把握できなくなる可能性があるため、包括管理に修繕業務を含めることは適切ではない」とする意見もあった。  市内事業者については、修繕業務や維持管理業務での活用を想定する事業者が複数いた。  包括管理業務を全市展開した場合、対象となるのは小学校115校、中学校52校、高校5校、特別支援学校4校。今後サウンディング調査を行い、25年度末までに実施方針を策定。26年度に事業者公募を開始し、27年度から包括管理業務を全市で実施する計画だ。