複合災害への対応能力強化 能登半島地震踏まえ有識者検討会

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 国土交通省は、能登半島地震とその後の奥能登豪雨による被害を教訓に、災害発生後に後発として生じる複合災害への対応能力を強化する。複合災害につながる河道閉塞による湛水と、火山噴火による火山灰堆積について、2025年度末までに後発災害被害を防止・軽減するための緊急調査の手法や危険度評価の考え方を整理する。  9月29日に開いた「大規模土砂災害の緊急対策の強化に関する検討委員会」で、この考えを示した。  斜面崩壊などで発生した河道閉塞と、火山噴火による降灰の堆積は、発生してもすぐに大規模な土砂災害につながるわけではないが、少ない降雨などでも災害の発生につながる可能性がある。  国交省は、地震や豪雨、火山噴火などにより一定規模以上の河道閉塞や降灰堆積が確認された際に、その状況を緊急的に調査している。具体的には、河道閉塞の高さと降灰厚を調査し、被害想定区域と被害発生時期を想定している。  一方、複合災害への対応能力を強化するためには、こうした高さや厚さ以外の項目も含めて、危険度を評価することが必要とされた。河道閉塞については河床勾配や提体の形状、降灰については森林の有無や堆積物の質などを考慮すべきとされた。また、対応する箇所の優先順位付けを明確化することも求められた。  閉塞や堆積状況の調査手法については、調査の精度向上や効率化・迅速化が必要とされた。現状はヘリコプターなどを活用して調査しているが、UAVや人工衛星を活用したリモートセンシングや、点群データの作成・活用が求められる。  検討委では、こうした課題への対応を含め、年度内に緊急調査の手引きを改定する。26年度以降には、地震や豪雨に対する事前対策や緊急事態対応を定めた「大規模土砂災害危機管理計画」や、火山噴火による被害を最小化するための「火山噴火緊急減災対策砂防計画」の策定ガイドラインの改定にも着手する。