日建連・中原淳事務総長 中長期の課題「解決への布石打つべき」
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「5年後、10年後を見据え、人手不足など不可避の課題を解決するため、必要な布石を打たなければならない」。旺盛な建設投資に支えられ、業績好調な日本建設業連合会(日建連)の会員企業が多いとは言え、「人手不足はさらに深刻化する見通しが高い。こうした建設産業が抱えるこうした課題に、日建連は責任を持って向き合う立場にある」と力を込める。
国土交通省では、大臣官房建設流通政策審議官などとして、建設産業行政に長く携わった。
「これまでの経験を日建連の会員各社と建設産業全体のために生かしたい」と考えている。建設産業行政に対し「必要な制度改正について、もっと大胆に主張したい」と述べた上で、国交省に政策提言するために「日建連のシンクタンク機能を強化することも必要だ」と考えている。
日建連は今年7月、2050年を見据えた『建設業の長期ビジョン2・0』を発表した。「長期ビジョンを実現するための具体策を戦略的に進めたい」と話す。
このビジョンでは、10年後に129万人分の労働力が不足すると予測しており、「生産性を向上させるためのあらゆる対策を講じなくてはならない」として、「建設技能者を派遣法の適用対象にすれば、労働者の流動性が高まり、生産性向上につながる」などと、制度面での対応の余地があるとみている。
建設キャリアアップシステム(CCUS)は、技能者登録が170万人を超え、建設業退職金共済との完全連携も始まる。「登録している技能者、現場で活用する事業者にとって有効なシステムとして機能するよう、推進体制を構築したい」と話す。
【略歴】中原淳(なかはら・じゅん)。東京大学法学部卒。1987年旧建設省入省。国土交通省大臣官房建設流通政策審議官、国土政策局長、外務省駐ホンジュラス特命全権大使などを経て8月から現職。63歳