府 明治の森箕面国定公園など3エリアで拠点施設など

大阪

市街地に近いながらも豊かな自然環境があるほしだ園地

 大阪府環境農林水産部は、「山のおもてなし基本構想」を年度内に策定する。府が管理する周辺山系の中でも特にインバウンドを呼び込めると考える明治の森箕面国定公園(箕面市)、府民の森ほしだ園地(交野市)、府民の森ほりご園地(泉南市)の3エリアについては必要な整備概要を示す基本計画まで作成する予定だ。  同業務は、JTB・長大共同企業体に委託して進める。まずは、おおさか環状自然歩道や府民の森、周辺山系施設などの自然公園施設の利用者ニーズなどを踏まえた自然公園全体の基本構想を策定。中でもインバウンド人気が高く、今後の大阪市内のオーバーツーリズム対策や府内周遊観光の優良ツールとなり得る新たな観光資源としてのポテンシャルが高い3拠点エリアについては、「山のおもてなし」に向けた基本計画(必要な整備や概算整備費用の算出など)、公共交通機関の運行状況や地元の特産品、観光スポットなどとリンクさせた「周遊モデルコース(半日版・1日版・複数日滞在版)」を設定、集客に向けた効果的なプロモーションなどを検討する。  3拠点エリアについては、拠点施設や関連施設の検討、イメージパース、施設配置図などを含む基本計画の策定、概算事業費の算出を行う。  明治の森箕面国定公園は、近隣の府営箕面公園(箕面大滝)や勝尾寺などとの効果的な周遊につながる視点も備えた施設内容、府民の森ほしだ園地でも近隣の府民の森くろんど園地、大阪公立大学付属植物園、私市水辺プラザ、星の里いわふねなどとの効果的な周遊につながる視点を備えるとともに、ピトンの小屋(ほしだ園地案内所)周辺の魅力づくりや新たなアクティビティ、新たな集客施設・魅力づくりなどについても検討する。府民の森ほりご園地は、府民や国内観光客だけではなく、特にインバウンドの誘客につながる視点で園地全体の充実化に向けた内容とする。 ■観光客を分散させ、都市部以外の地域の活性化が重要な視点に  9月24日に開かれた大阪府議会本会議の代表質問で、牛尾治朗議員(大阪維新の会)が、万博開催のレガシー効果で今後も他府県や海外からの観光客の増加が見込まれる中で、市街地に近く豊かな自然環境を持つ周辺山系を訪れてもらうため、府民の森などの活性化について尋ねた。  環境農林水産部の原田行司部長は「これまであまり山を訪れることのなかった観光客らに府内周辺山系の魅力を知ってもらい、新たなにぎわい空間を創出することを目的に『山のおもてなし基本構想』を本年度中に取りまとめる」と答えた。  具体的には、大阪の山の魅力を自然環境だけでなく、歴史や文化というさまざまな角度から整理した上で、解説板や標識の多言語化、歩きやすい歩道、アクセスの改善など多様な観光客が訪れやすい環境整備や効果的な情報発信の方策を検討するなど、魅力づくりを推進していく上での取り組み内容や規模、実現方法を示すとした。拠点3エリアについては「具体的な整備概要を示す基本計画まで作成する予定で、計画に従い今後順次整備を進める」と述べた。  牛尾議員は「観光客の分散、それによる都市部以外の地域の活性化は重要な視点。『山のおもてなし』の推進がこれに貢献するだろう」と期待した。