中小建設業の「紙文化」解消 バックオフィスDXを支援
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建設業振興基金は、中小建設業のバックオフィス業務のDX化に向けた助成事業を実施する。見積もり・契約や安全書類作成、建設キャリアアップシステム(CCUS)の活用など、幅広い領域が対象となる。建設業団体や元請け・下請け間の勉強会、企業間連携によるデジタルツールの導入を支援し、根強く残る「紙文化」の解消を後押しする。きょう10月1日から募集を開始する。基金の創立50周年事業の一環となる。
元請け・専門工事業者らを交えた勉強会を踏まえて実施を決めた。現場内ではICT施工の活用が進む一方で、本支店での現場管理支援や元下間の取り引き、資機材の調達、行政機関への届出、労務管理といった領域で遅れているDX化を加速させる。バックオフィス業務の多くは個社で完結しないため、建設業団体や、複数企業で構成するグループを助成対象とし、重層下請け構造全体で生産性を高める。助成金額は1団体・グループにつき上限200万円。
主な支援メニューを見ると、DX化の勉強会は、建設業団体と会員企業や、元請けと協力企業が連携して検討の場を設けるのに必要な経費を助成する。
導入を支援するデジタルツールには、▽見積もり・契約といった電子商取引▽受発注者間での業務連絡・報告▽安全書類の作成・現場管理の効率化▽CCUSを活用した現場効率化、建退共電子ポイント方式との連携、技術者の専任要件の緩和▽協力企業へのDX推進に関する技術指導▽電子記録債権の活用による支払い業務効率化―などを例示した。
申し込み期限は11月7日まで。助成金の申請書と、必要額の根拠となる資料の提出を求める。企業間の連携スキームやDXの取り組み内容だけでなく、他の中小建設業への波及性を含めて総合的に判断し、助成対象を11月中に決める。助成が決定した事業者は基金のホームページでも公表する。
助成を通じて優れた企業間連携や、DX化の事例を収集し、建設業のバックオフィス業務を効率化する参考とすることも検討している。
今回募集を開始する業務とは別途に、基金が事務局を務める電子商取引の仕組み「CI―NET」の導入支援を希望する中小建設業を12月1日から募集する。助成金の申請方法など詳細は10月下旬に公表する。
現行は契約業務のみでの利用が多いが、出来高や請求業務への利用範囲拡大も助成対象とする。元請け・下請けを問わず、個社による助成申請を受け付ける。