名古屋市 宿泊施設のバリアフリー化基準案まとめる

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 名古屋市住宅都市局は、宿泊施設の一般客室内(車いす使用者用客室を除く全ての客室)を対象とする、バリアフリー化基準案をまとめた。床面積合計1000平方㍍以上の宿泊施設の新築等が対象で、2025年度2月定例会に条例案を上程、周知期間を経て26年9月ごろの条例施行を目指す方針だ。  対象は、新築、増築、改築、用途変更する部分の床面積の合計が1000平方㍍以上の宿泊施設における一般客室が対象。風営法の適用を受ける施設、または簡易宿泊所は対象外。また、対象宿泊施設でも和室部分と増築の際の既存部分は対象外となる。  基準案は、客室面積15平方㍍未満と同15平方㍍以上で区分。客室面積15平方㍍未満は、高齢者や障がい者などに配慮した基準とし、同15平方㍍以上は、車いす利用者を含めた高齢者や障がい者などに配慮した基準を設定した。2以上のベッドの客室は、基準面積に4平方㍍を加算(15平方㍍を19平方㍍に読み替える)する。  高齢者や障がい者などに配慮した基準は、客室内の便所と浴室等の出入り口幅を有効幅員70㌢以上、客室内の便所と浴室等に接する通路の幅は有効幅員80㌢以上とする。また、便所・浴室に手摺りの適切な配置に努めるよう求める。  車いす利用者を含めた高齢者や障がい者などに配慮した基準では、出入り口幅を有効幅員75㌢以上、通路幅は100㌢以上とする。また、転回スペースをはじめ、ベッド移乗スペースの確保、便所・浴室への手摺りの適切な配置に努めるよう求める。  その他、両基準とも客室内には階段または段差を設けないこととした。  宿泊施設にはバリアフリー法や愛知県条例により、共用部分のバリアフリー化や車いす使用者用客室の設置に関する基準はあるものの、一般客室内部のバリアフリー化基準はこれまでなかった。今回制定を目指す条例は、26年度に開催するアジア・アジアパラ競技大会を契機に社会や地域に貢献するレガシーとして、全ての人が利用しやすい宿泊施設を普及させるため、市独自の基準を新設する。  今回基準案(宿泊施設の客室のバリアフリー化基準に関する基本的な考え方(案))は、10月20日~11月18日にパブリックコメント手続きを行う。  市は、今回基準案に加え、設備機器や人的サービスといった「ソフト」対応が不可欠だとし、ソフト対応を含めたバリアフリー化に関する対応事例などをまとめ、情報発信を行っていく予定としている。