全中建 関東ブロックで意見交換会 賃金アップの原資確保要望

中央
 全国中小建設業協会(全中建、河﨑茂会長)は9月30日、関東地区のブロック別意見交換会を開いた。今回は、働き方改革に向けた環境整備をテーマとして、出席した国土交通省などと意見交換。賃金アップの原資を確保するため、積算基準の「施工代価表」を見直すよう求めたほか、今夏の気温上昇を受けた現場の熱中症対策の強化などを要望した。  河﨑会長=写真=は会合の冒頭、「先を見通すことができる予算が確保されれば、計画的な処遇改善と経営の安定化が可能になる」と述べ、「意見交換を通じ、中小建設業が地域社会に貢献する力強い地場産業としての役割を果たせるよう、基盤を築きたい」と続けた。  意見交換会には、▽東京都中小建設業協会▽全中建多摩▽町田市建設業協会▽東京林業土木協会▽神奈川県中小建設業協会▽横浜建設業協会▽全中建建友会―が参加。国交省からは、不動産・建設経済局建設業課入札制度企画指導室の髙橋信博室長、関東地方整備局企画部の宮坂広志技術開発調整官と建政部の佐藤孝建設産業調整官、営繕部の田中幸一官庁施設管理官らが出席した。  東京都都市整備局の大澤真知子建設業課長、横浜市の佐藤公彦公共事業調整課長も参加した。  意見交換では、東京都中小建設業協会と全中建多摩が、施工単価が実態に合わず、適正な労務費を確保するために現場管理費や一般管理費を削減せざるを得ないと主張。受注者が利益を確保できるよう、積算基準の「施工代価表」の見直しなどを求めた。  神奈川県中小建設業協会は、民間工事で価格上昇への対応が遅れていると指摘。民間工事に標準労務費を示すとともに、国民への周知すべきとした。これに対し、国交省の髙橋室長は「賃上げには民間工事にも対応しなければならない。厚労省と連名で民間発注者にも賃上げを要請している」などと回答した。  横浜建設業協会は、中小企業と大手企業の賃上げ率に差が生じているとして、公共工事設計労務単価の引き上げを要望。全中建建友会は、受注段階で労務費の原資を確保できるようにするため、予定価格に限りなく近い価格で落札できる制度改正を求めた。  また、今夏の気温上昇を受け、熱中症対策についても各団体が要望した。このうち、町田市建設業協会は、WBGT値28度以上、または気温31度以上であれば、発注者が工事一時中止を指示すべきとした。