工事総合評価GL改定 WLB・新技術開発評価を拡大
静岡
国土交通省中部地方整備局は、「工事調達における総合評価落札方式の運用ガイドライン」を改定し、10月1日以降に公告する工事から適用している。2023年に拡大したワーク・ライフ・バランス(WLB)などを推進する企業の評価をさらに拡大するとともに、中部DX大賞など新技術開発にかかわる賞の受賞企業評価も拡大した。そして、23年度から導入している若手技術者・女性技術者の配置に対する加点の評価基準を見直し、監理技術者資格を持つ技術者の評価を追加した。
WLBなどの推進企業の評価は、17年度のガイドライン改定でS型(WTO)を対象に評価項目(企業評価・その他)に追加。これを23年度に非WTOを含めた本官工事に拡大したが、今回の改定で全ての総合評価落札方式の案件に拡大し、さらに取り組みを広げる。
評価基準は▽女性活躍推進法に基づく認定(プラチナえるぼし、えるぼし)▽次世代法に基づく認定(プラチナくるみん、くるみん、トライくるみん)▽若年者雇用促進法に基づく認定(ユースエール)―のうち、いずれかの認定。配点は一般土木と建築のA、またはB等級の工事が1点、それ以外は0・5点とした。
新技術開発に関わる受賞の評価は、これまでS型(WTO)段階的選抜方式で採用していたが、C等級企業などの受賞増を踏まえて拡大。分任官を含む全ての総合評価落札方式に適用した。
評価対象は▽国土技術開発賞▽インフラDX大賞▽中部DX大賞。当該年度の前3カ年度の受賞を評価する。
一方、これまで「技術者の能力」の評価項目としていた「学会誌や協会誌等への執筆や投稿、発表論文などの実績」は、CPD単位の取得状況を別途評価していることなどを踏まえ廃止した。
若手技術者・女性技術者の配置に対する加点では、これまでは“監理技術者資格のない”若手技術者(40歳以下)、または女性技術者を現場代理人や担当技術者として配置した場合に「企業の能力」の中で評価していたが、この資格に関わる項目を削除。配点は2点から1点に見直した。
一方で、実際に“監理(主任)技術者として”若手技術者、または女性技術者を配置・活用した場合は、「技術者の能力」の中で加点(1点)する。これまで、監理技術者資格のない若手・女性技術者を配置することで加点していた2点を、資格の有無にかかわらず企業で1点、監理技術者自身の評価で1点に振り分けたかたちだ。
背景には、若手や女性の技術者配置が増加する中、35歳以下の監理技術者が全体の約1割にとどまっている現状がある。今回の改定で、現場代理人や担当技術者からのステップアップ、監理技術者の育成を促していく。