新丸山ダム 大林組 バイバックの自律運転に向けた実証実験

中部

自動運転でコンクリートを締め固めるバイバック

 国土交通省新丸山ダム工事事務所とダム本体工事を施工する大林組(JV代表)は、コンクリートの締め固めに使うバイバック(※1)の自律運転に向けた検証を行っている。2027年度末までにELCM工法(※2)による自律型コンクリート打設システムを開発し、骨材製造からコンクリート打設、締め固めまでの一連の工程を自動・自律化する方針だ。  新丸山ダム本体建設では、施工計画から品質管理まで一貫した自律型コンクリート打設システムの実現に挑戦している。23年2月以降、3回の実証実験を重ね、これまでに複数建機を連携させた自動・自律運転、コンクリート運搬に使うケーブルクレーン自律運転などを成功させている。  10月1日に公開した今回(4回目)の実証実験には、国交省職員が35人、大林組JVから45人が参加。ELCM工法によるバイバック自律運転の開発ステップ第1段階となる、定型動作での自動運転(遠隔操縦と自動締め固め)を公開した。  今後、作業データ取得を進め、26年度をめどに第2段階の熟練オペレーターの操作を学習した自律運転、コンクリート形状のリアルタイム認識機能、コンクリート締め固め判定機能を実証する。  第3段階のケーブルクレーンと連携したコンクリート放出位置の自律修正、仕上げ面の高さ管理・平滑仕上げ検証までを27年度末までに完成させ、骨材製造からELCM工法によるコンクリート打設、締め固めまでの一連の工程を自動・自律化する。  実証実験を説明した大林組西日本ロボティクスセンターの森直樹部長は、「品質管理までを含め、骨材製造からケーブルクレーンによるコンクリート運搬、バケット放出、コンクリート打設、締め固めまでの各工程が連携した自律化は、完成すれば全国初」と話した。  ※1 バイバック=バックホウなどの重機に棒状の振動機を取り付けたダム建設で使われる締め固め用の機械、硬練りのコンクリートを短時間で締め固めることができる  ※2 ELCM工法=コンクリートダムの施工法。柱状工法のような段差を設けずに複数のブロックを同時に打設する工法