府 大阪母子医療センター建て替えのスケジュールなど年内に再調査
大阪
大阪府は、大阪母子医療センターで計画している建て替えのスケジュールなどについて、基本設計説明会に参加した20社超の建築や設備事業者を中心に、年内に再調査を実施する。調査はアンケート形式やヒアリングなどを想定しており、現在手法について検討を進めている。同センターは昨年12月に設計・施工一括のデザインビルド(DB)方式で整備することとして公告したものの、応募者がおらず不調に終わった。再調査で改めて建築コストの精査、整備スケジュールなどを確認する。
10月1日に開かれた大阪府議会9月定例会本会議の一般質問で、中野稔子議員(大阪維新の会)の質問に府健康医療部の西野誠部長が答えた。
中野議員は「ホテルや商業施設、データセンター、半導体工場など民間の設備需要が高まっている一方で、病院の建て替えは全国的に難航していると聞く。特に病院の工事は専門性が高く、工期も長くなりがちで、事業者としては施工業者の確保、工事費高騰のリスクがあり、落札できるか分からない入札に参加しにくいようだ」と指摘。
続けて、「入札不調を受け、府立病院機構では建設業者への市場調査を行うとことだが、今後の対応として、事業者の不安を払しょくし、確実に病院建設を前に進めていくために、不調の原因や今後の新病院整備の見通しがどうなっているか、また、建物や設備の老朽化が進む中で、現施設の修繕も避けられないが今後のセンターの整備をどのように進めていくのか」と質問した。
西野部長は「大阪母子医療センターの建て替え整備については、入札不調の具体的な要因分析を踏まえた対応の検討が必要」との考えを示し、入札公告を前に同センターが行った基本設計説明会に参加した20社超の建設、設備事業者に行った調査で、建築コストだけでなく、人員の確保や工事の難易度の高さなどの理由により、当面の間、着工は困難との結果になったことを説明。
今後については「改めて建築コストの精査、整備スケジュールなどを確認するため、年内をめどに再調査を実施することにしている。合わせて築40年以上経過した現施設の設備面を中心に老朽化への対策も検討を進める予定だ」と述べた。
中野議員は「事業者の声をしっかり受け止め、入札条件の工夫や事業者が取り組みやすい環境づくりを進めてほしい。老朽化が進むセンターの整備は待ったなしの課題。少しでも早く実現できるよう創意工夫を凝らして取り組んでほしい」と求めた。
■新センターは現地建て替えを計画
大阪府立病院機構大阪母子医療センターは、2024年12月2日に公告した同センター建て替え事業の一般競争入札について、入札参加申請がなく不調になった。予定価格は323億3400万円だった。
新センターの規模は鉄骨一部鉄骨鉄筋コンクリート造地下1階地上10階建て延べ3万6967平方㍍。基本計画では、分娩室10床やMFICU(母体胎児集中治療室)12床、NICU(新生児集中治療室)21床、GCU(新生児回復室)21床などを整備するとしている。この他、エネルギー棟や医療ガス棟整備工事、手術棟などの改修工事、解体撤去工事などを行う。
現センターの敷地内に建て替える計画で、建設地は和泉市室堂町840。敷地面積は6万8077平方㍍。
基本設計は安井建築設計事務所・シップヘルスケアリサーチ&コンサルティング共同企業体が担当。