国土交通省近畿地方整備局と奈良県建設業協会の意見交換

大阪

意見交換会の様子

 国土交通省近畿地方整備局と奈良県建設業協会(山辺元康会長)は9月30日、奈良市内で公共工事の諸課題などについて意見交換した。奈良建協は、①奈良県のインフラ整備の促進②地元建設企業に対する受注機会の拡大③入札・契約制度など④設計・積算⑤地方公共団体への指導など⑥工事施工⑦事務の簡素化⑧営繕(建築)―の八つのテーマを提案した。  奈良建協は「奈良県のインフラ整備の促進」について、京奈和自動車道の早期開通とともに暫定2車線供用部の4車線化を求めた。近畿地整は、「ミッシングリンクとなっている本線の早期開通を優先して進めながら、周辺道路の整備状況を踏まえながら必要性について検討していく」と回答した。  また、南海トラフ地震などの大規模災害時に、救援・復旧活動の生命線となる紀伊半島アンカールートの一翼を担う国道168号と国道169号の事業量確保と整備促進に関する要望について近畿地整は、「能登半島地震の際には孤立集落が多数発生するなど半島特有の課題が浮き彫りになった」とし、「両道路の重要性を改めて認識した。奈良国道事務所では長瀞道路、五條新宮道路、十津川道路、伯母峯峠道路、国道169号下北山村前鬼~上池原災害復旧権限代行の計5事業の直轄権限代行事業で進めていく」と事業への協力を求めた。  奈良建協はこの他、「地元建設企業に対する受注機会の拡大」として、京奈和自動車道関連の工事に地元建設業者が参加できない工事が多いことを訴え、「可能な限り分割発注など、地元建設業への配慮をお願いしたい」と要望。近畿地整は、「地元建設業者に幅広い受注機会を提供できるようにしたい。2024年度は6件の工事をチャレンジ型で発注した。よりきめ細かい発注情報を提供するので積極的に参加してほしい」と回答した。  あいさつの中で近畿地方整備局企画部の野坂周子部長は、国土強靱化実施中期計画や26年度予算の概算要求などについて触れ「国土強靱化予算については実行要求という形で、予算編成過程で検討することになっている。物価上昇などを踏まえて予算要求していくことが極めて重要だと考えている。協会の皆さまにも力添えをお願いしたい」と要請した。また、地域の建設業は社会資本の整備や維持・管理を行い、災害時には最前線で地域社会の安全・安心を担う地域の守り手としてなくてはならない存在とし、「建設業が持続的に発展していけるよう、意見交換を通じ、われわれができること、課題に真摯(しんし)に耳を傾けて全力で取り組んでいく」と述べた。  山辺会長は、「建設産業の抱える、就業者の高齢化や担い手の確保、技術の継承は喫緊の課題」とした上で、働き方改革への対応や、物価上昇などに起因する人件費の上昇、円安を背景とした資材価格の高騰などに苦慮している現状を訴え、「インフラ整備やメンテナンスの担い手であると同時に、災害時には最前線で地域の安全・安心の確保を図る役割を果たしていくには、継続的かつ安定的に公共事業関係予算が確保されることが必要」と強調した