坂本雅志氏(さかもと・まさし=国民民主党東京都議団幹事長)

東京
 6月22日の東京都議会議員選挙で、国民民主党が初めて議席を獲得した。公共事業の必要性や建設産業の課題をどのように考えているのか。幹事長の坂本雅志氏(世田谷区)に聞いた。  ―初めて都政に臨む。意気込みを聞きたい。  「単独で条例を提案できる人数には至らなかった。しかし、党派の9人はそれぞれ異なるバックグラウンドを持ち、年齢も分散している。さまざまな角度から政策の提言を行って、一流の会派を目指していきたい」  ―公共事業に対してはどのようなスタンスを持っているか。  「〝無駄遣い〟のレッテルを貼られがちだ。経済波及効果をしっかりと検証すべきだが、都民の役に立つ、または東京の発展に寄与するような公共事業は必要だと考えている。こうした視点に立ち、事業ごとに内容を判断していくことになるだろう」  ―都は〝首都防衛〟を掲げ、〝TOKYO強靱化プロジェクト〟などの独自施策を打ち出している。  「正しい方向性と評価している。高度成長期に整備したインフラは築50年がたち、劣化してきている。最新の基準で更新・改修していくことは絶対的に必要だ」  ―東京のまちづくりに対する所感は。  「個人的に日本の主要駅の駅前は景観が似たり寄ったりなことを憂いている。まちのシンボルになる公共建築物は芸術的価値が高い施設にしようという気概があっていいのではないか。それは都が世界に誇る資産になっていく」  「素晴らしい日本のカルチャーを世界に向けて発信する手段として、建築物は重要な役割を担う。建設産業は日本のブランディングを左右すると言えるだろう」  ―建設産業が抱える課題をどのように認識しているか。  「担い手不足による労務費の上昇や資材価格の高騰が進む中で、公共事業の受注金額が適正か、という課題がある。特に労働団体との意見交換をする中で、従業員の処遇を改善していく必要があると感じている。いわゆる『公契約条例』についても考えなくてはいけないのではないか」  「人手不足に関しては、デジタル技術で作業を効率化したり、生産性を向上したりすることが大切だろう。建設産業に限った話ではないが、従来と同じ時間と金額でより多くの成果が上がるような努力を期待している」  【略歴】青山学院大学大学院国際マネジメント研究科修了。民間企業を経て2010年に独立し、経営コンサルティング会社のスマートウィルを設立。6月の都議会選挙で初当選し、7月から現職。54歳。横浜市出身。