下水処理場の在り方 二次処理への転換を検討すべき

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 国土交通省は、河川や港湾などの公共用水域の水質保全に向けた「戦略的な水環境管理のあり方検討会」の報告書案をまとめた。人口減少によって必要な処理レベルが変化していることを踏まえ、下水処理場を更新する際には、従来の高度処理への更新から、建設・維持管理コストを抑えられる2次処理への転換も検討すべきとした。  水質の保全に向けてこれまでは、都道府県が定めた流域別下水道整備総合計画(流総計画)に基づき、人口増加を見据えた下水処理場の整備や施設の高度化を進めてきた。一方、人口減少に伴って汚濁負荷量(水質汚濁につながる有機物、窒素などの総量)も減少してきたことで、将来的に下水処理のレベルを下げても水質環境基準を達成できる地域もある。  そこで有識者検討会は、更新や運用のコストを考慮し、将来的な汚濁負荷量を検討した上で、施設能力を最適化することが必要とした。  施設の最適化に向けて、流総計画に定めた水質環境基準への適合状況や既存施設の処理レベルを踏まえた、今後の施設更新の考え方を示した。具体的には▽基準に未達で、処理レベルの高度化が必要▽基準を達成▽基準に未達だが、汚濁負荷量の減少により将来には高度な処理が不要―の3パターンを整理した。  基準に未達で高度化が必要な場合は、従来通りの高度処理の導入を進める。基準を達成している場合は、汚濁負荷量の減少に合わせて高度処理からコストが少ない2次処理へと施設を改築する。基準に未達だが将来的に高度処理が不要となる場合は、施設の更新時期や運転方法の変更を踏まえて今後の方針を検討するとした。