「技術と経営」に評価を 地域建設業の在り方を議論

中央
 国土交通省は10月6日、今後の建設業政策に関する有識者勉強会を開き、特に地域建設業の在り方をテーマに議論した。楠田幹人不動産・建設経済局長=写真=は、受発注者双方の中長期的な担い手不足といった課題を指摘。一部の公共発注では応札額が最低制限価格の付近に集中しやすい実態にも触れ、「真に技術と経営が優れた企業が地域において評価される仕組みとなっているか、検討が必要だ」と述べた。  勉強会は、建設業の持続的な発展に向けて必要な政策の方向性を議論する場。前回は大手ゼネコンの経営をテーマに据え、DX推進を阻む課題などについて話し合った。今回は地域建設業に焦点を当て、中長期的な担い手確保や生産性向上といった観点から課題を議論した。  楠田局長は開会に当たり、地域建設業が「地域の守り手であり、社会インフラを支える重要な役割を果たしている」と述べた。一方で、投資余力に制約のある比較的小規模な事業者について「ICT活用など生産性の向上、従業員の教育などの点で課題、悩みを抱えている企業も多い」との課題認識を示した。  受注工事に占める公共事業の割合が大きい中で、発注を担う地方自治体側においても技術職員が不足し、発注業務のノウハウ承継に課題が生じているとの指摘があることにも触れた。その上で、「安定的なインフラの整備、防災減災対策を将来にわたって安定的に行っていく上での課題に直面している」との認識を提示。  公共工事の発注で応札額が最低制限価格の付近に集中する「くじ引き」が存在する実態にも触れ、価格だけでなく技術と経営に優れた企業が評価される仕組みづくりが必要だとした。その上で、「地域に信頼される企業の在り方や、その取り組みを支援するための生産システムの合理化」について議論を呼び掛けた。  勉強会では地域建設業の代表者を臨時委員として招き、先行的な企業経営の事例を報告してもらった。地域をけん引する中核的な建設企業として創意工夫に取り組んでいる事例や、地域建設業間の資本提携・ホールディングス化を通じた企業の維持発展に取り組んでいる事例の説明があった。