「群マネ」知っていますか? 手引書「超百科」国交省が公開
中央
国土交通省は10月14日、インフラ老朽化対策の新たな手法「地域インフラ群再生戦略マネジメント」(群マネ)の手引きを公表した。複数自治体の連携や、道路・上下水道のように分野の異なるインフラ維持管理の一括発注など、従来にない事業手法を提示。発注方式の大幅な見直しにつながるため、事業者とどのようにコミュニケーションを取るべきかも示した。地方自治体に通知を発出し、手引きの積極的な活用を促す。
手引きのタイトルは「群マネ入門超百科」とし、自治体職員が手に取りやすい形式を目指した。群マネの類型や先行事例、構想から具体化までのプロセス、地域の建設業者との協議方法なども示し、導入を後押しする。国交省総合政策局公共事業企画調整課と、各地方整備局に相談窓口も設ける。群マネの特設ホームページを立ち上げる他、今後は自治体向けの説明会も検討している。
群マネは、複数の自治体や、道路・上下水道・公園のように分野が異なり、これまで個別に整備・管理されてきたインフラを一つの「群」と捉え、メンテナンスを効率化する考え方。受発注者双方で人手不足が深刻化する中、インフラ老朽化に備えるための施策となる。第1次国土強靱化実施中期計画にも盛り込まれた。
複数の自治体が共同発注したり、協議会や事務組合を作るなど、実施体制は多様だ。単純な維持作業だけでなく、インフラ全体のマネジメントや、住民の窓口業務も一体で発注する例もある。受注者の形態も、域内事業者のJVや事業協同組合など幅広い。
手引き書では、県道と市道の維持管理を同一のJV事業者に発注した静岡県と下田市の例や、岐阜県白川村と富山県南砺市が県境をまたぐ除雪を同一事業者に発注した事例、道路・河川の維持作業を地域維持型JVに発注した三重県四日市市の事例など、14の先行事例を示した。
建設業者にとっては、発注ロットの拡大による作業の効率化や収益性の向上、複数年契約による長期的な業務見通しの確保、雇用・設備投資の促進といった効果が期待できるとしている。
地域建設業が担ってきた自治体管理のインフラメンテナンスの体制見直しにつながるだけに、手引きでは事業者とのコミュニケーションの在り方も示した。個別事業者との調整に先立ち、「地元の事業者を俯瞰する立場にある建設業協会等の団体と対話」することなどを例示。公平性・透明性の確保に留意しつつ、必要に応じて事業者からの意見聴取やアンケートを行い、最適な事業手法を検討するとした。
「大手企業しか参入できない」との懸念に対し、24時間365日の現地対応が必要なインフラメンテナンスは「地元業者の協力なしでは成立しない」ことを明記した。
群マネを水平展開し、取り組み状況を踏まえて手引きのバージョンアップも検討する。全国11カ所の群マネモデル地域については、25年度末でいったん支援を締めくくり、活動結果をまとめる。