都 大江戸線延伸 概算事業費1600億円

東京

都の公表資料より

 東京都は都営大江戸線の延伸に関する現在の検討状況を明らかにした。概算事業費を税抜き1600億円と見積もるとともに、事業スキームで地下高速鉄道整備事業費補助の活用を想定。1日当たり約6万人の旅客需要の増加を見込み、開業から40年以内に累積損益収支が黒字化するとみている。これらの試算により「収支採算性等の改善を確認した」ことから、地元の練馬区と沿線まちづくりや費用負担などを含む検討・調整を進めて計画の熟度向上を図るとしている。  都営大江戸線の延伸は、現在の終点に当たる練馬区光が丘の光が丘駅から西に進み、同区の大泉学園町に至る延長約4㌔で計画。区間内の新駅として、土支田通りの東側に「土支田駅(仮称)」、外環道との交差部の西側に「大泉町駅(仮称)」、大泉学園通りとの交差部の東側に「大泉学園町駅(仮称)」を設ける予定だ。また、延伸に伴う車両編成の増加に対応するため、既存の高松車庫を改修する他、大泉学園町駅(仮称)に引き上げ線を整備して車両の折り返しに使う。  事業化に向けて2023年3月に交通局・財務局・都市整備局・建設局で構成する「大江戸線延伸にかかる庁内検討プロジェクトチーム」を設立。収支採算性などの課題を解決するため、旅客需要の創出やコストの低減、財源の確保・活用の三つの観点から改善策を検討していた。  24年度の時点で交通局が見積もった概算事業費は1500億円。ただ、その後の単価の見直しを踏まえ、今回の試算で100億円増の1600億円とした。また、以前から課題となっていた採算性については一定の条件の下で改善が確認できたものの、「完全に解消されたわけではない」(都市整備局)としている。  今後の検討事項として、練馬区による沿線まちづくりなどの具体化を挙げた。延伸と並行して駅周辺の開発やまちづくり、交通結節機能の充実、鉄道と連携した駅周辺の基盤施設整備などを実現するため、方針や構想の策定が必要だとしている。地下高速鉄道整備事業費補助を活用する場合の都と区の費用負担や、物価高騰などで事業費や負担額が増える可能性を考慮した対応方針の整理も必要とした。  都は今後、関係者と協議・調整を進めながら事業計画案を作成。都市計画・環境影響評価などの手続きや鉄道事業許可などを経て事業に着手する方針だ。