月給制移行に支援措置を 現場閉所、夏季休工に効果 全建

中央
 全国建設業協会(全建、今井雅則会長)は10月15日、厚生労働省の有識者会議で、建設技能者を日給制から月給制へと移行させるため、支援措置や制度改正を求めた。技能者の給与が、日給月給や日給日払いから月給制に変わると、現場の土日閉所や猛暑期間の休工も進めやすいと指摘。月給制に移行した企業を助成金の対象としたり、技能者派遣を特例で認める「建設業務労働者就業機会確保事業」の要件を緩和し、仕事の繁閑差を解消することを提案した。  労働政策審議会の建設労働専門委員会に出席した山崎篤男専務理事が、こうした主張を展開した。建設労働専門委員会では、2026年度を初年度とする第11次建設雇用改善計画を検討している。  建設技能者の給与支払いは、日給月給・日給日払いが半数を占める。受注産業である建設業は、仕事の繁閑差が大きく、天候に左右される屋外生産であるため、日給制を採用する企業が依然として残る。額面の給与を増やすために日給月給制を自ら選択する技能者も多いという。  全建は、休暇が増えると給与が減る日給制が現場の土日閉所や猛暑期間の休工の妨げになると指摘。月給制であれば、技能者も安心して休暇を取得できるとした。  ただ、受注産業である建設業は、「仕事がないのに月給制に移行すれば、雇用主が給与を支払えない」(山崎専務)として、受注のない時期に技能者を派遣できるよう、建設業務労働者就業機会確保事業の要件緩和を求めた。  同事業は、厚労省の認可を受けた事業者団体の会員企業が雇用を維持しつつ、労働者を一時的に送り出し、受け入れた別の企業の指揮命令で現場に携わらせることができる。全建は、この事業の許可手続きや必要書類の簡素化、下請け会社同士への対象拡大などを認め、労働の平準化を図ることが、月給制への移行を後押しできると訴えた。  一方、労働基準法に基づく「変形労働時間制」については、30日前とされている労働基準監督署への届け出の期限を「事後適用」か「前日」へと見直すよう求めた。厚労省は、猛暑期間や積雪寒冷地で変形労働時間制の導入を建設業界に推奨しているが、30日前に気象条件を予測することが難しいため、制度の緩和が必要だとした。  この他、建設キャリアアップシステム(CCUS)の技能者向けアプリ「建キャリ」の画面表示により、資格者証の携行義務免除の対象を拡大することや、建設業退職金共済の複数掛金導入に向け、中小企業退職金共済法を早期に改正することも要望した。