外国人の育成、共生を推進 JACによる支援策検討

中央
 国土交通省は10月16日、建設分野の外国人育成・確保に関する有識者検討会を開き、育成就労・特定技能制度の分野別運用方針案の作成に向けた報告書の骨子を示した。転籍制限期間をはじめとした制度整備に加え、外国人の中長期的なキャリアパス形成と、地域社会との共生も報告書の主要項目に設定。建設技能人材機構(JAC)による支援策を検討するとした。  現行の技能実習制度に代わって2027年4月に始まる育成就労は、特定技能の入口としての位置付けがより明確化される。報告書には、外国人が中長期的なキャリアパスを描けるよう、受け入れ企業による人材ごとのキャリア育成プランの作成を盛り込む。  3年間の育成就労、5年間の特定技能1号を経て特定技能2号に至る外国人のキャリア形成について、就業日数や取得すべき資格、実務経験、日本語能力の目安を示す方向だ。職種ごとに実態に応じた内容とするため、専門工事業団体とも調整し、ロールモデルを作成してもらう。受け入れ企業に対し、プラン作成の手引きといった形で示す。プランを作成する受け入れ企業にどのようなインセンティブを設定するかも検討する。  建設分野の育成就労・特定技能外国人には建設キャリアアップシステム(CCUS)の技能者登録などが上乗せ措置として義務付けられる。技能者の経験や保有資格に基づくCCUS能力評価を外国人のキャリア形成にも生かす。JACはカードリーダーの購入や外国人技能者のタッチ費用に対する支援を打ち出しており、こうした施策との連携も検討する。  労働者としてだけでなく、生活者としての外国人への支援も報告書に盛り込む。前回の有識者検討会では、「日本人と外国人との間に分断が生じないようにする」との意見が提起され、JACに地域共生を支援する新たな取り組みを求める意見も出た。  外国人が地域に定着するため、日本語教育のさらなる拡充が必要だとの声も複数寄せられた。育成就労の開始にはA1相当、特定技能への移行にはA2相当以上の日本語能力が求められる。現行では限られる、日本語学習の機会拡充が課題となる。  地域共生の促進には、受け入れ企業の取り組みに加え、地方自治体やNPOなどとの連携が重要になる。建設分野における優良事例の抽出や、横展開についても検討し、報告書に盛り込む。  11月に開く次回検討会で報告書をまとめる。建設分野における制度の運用方針は12月に閣議決定する。