民間工事のICT導入に遅れ 課題は「活用人材の不足」

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 国土交通省が、ドローンやマシンコントロール・マシンガイダンス建機といったICT技術の導入状況を調べたところ、対象企業の74・4%が「活用していない」と回答した。特に、民間工事の受注割合が大きな企業でICTを活用していない傾向が強かったことも分かった。課題には、「活用のための人材が不足」していることを挙げる企業が多かった=グラフ。  改正建設業法では、ICTを活用した現場管理と、そのための下請けへの指導が特定建設業者や公共工事受注者の努力義務とされた。具体的な取り組み事項を示すため、ICT現場管理の指針を告示。施工管理や現場施工でのICT活用を通じ、建設業の生産性向上や時間外労働の削減を促している。  国交省は今回、ドローンやウエアラブルカメラ、測量機、ICT建機、施工ロボットといったICT技術を例示し、作業の効率化に向けた2024年度時点の取り組み状況を調査した。回答を見ると、「ほとんどの工事で活用している」(5・2%)と「おおむね活用している」(20・4%)を合計しても、活用に前向きな回答は全体の25・6%にとどまった。  公共・民間工事の割合別に見ると、公共工事が主体の建設企業は、ICTを「ほとんどの工事で活用している」「おおむね活用している」との回答が3割を超えた。一方、民間工事が主体の場合は、「ICTを活用した工事はない」との回答が3割を占めるなど、公共・民間の工事割合によって傾向が分かれた。土木主体の公共でICT活用が先行しているようだ。  ICT活用の課題について聞くと、「活用のための人材が不足」との回答が43・7%で最も多かった。次いで多かったのは「費用対効果が不明」との回答で、41・6%となった。  公共工事が主体の企業では人材の不足を課題に挙げる企業が多く、ICT活用に前向きな一方で担い手の不足に悩む様子が見られた。民間工事が主体の企業では「費用対効果が不明」との回答が多く、ICT活用のメリットを実感しづらい傾向がうかがわれた。  働き方改革とICT活用に関連して、特に元請け企業を対象に、下請けに提出を求める書類の見直し状況も聞いた。既に見直しを始めているとの回答は55・5%を占め、半数を超えた。ただ、見直しにより既に「書類の削減・簡素化が進んでいる」との回答は25・6%にとどまった。  見直しの必要性は認識しているものの「取り組みに至っていない」との回答も29・5%あり、元下間の書類削減にはさらなる促進策が必要そうだ。