建設業労災9月末 死亡11人、前年に並ぶ

東京
 厚生労働省東京労働局がまとめた管内の労働災害発生状況(9月末現在速報値)によると、建設業では9月末までに642人が休業4日以上の労働災害で死傷し、うち11人が死亡した。前年同期に比べ死傷者数は33人少なく5カ月連続で前年を下回っているものの、死亡者数は同数で前年1年間の状況に並んだ。今後の労働災害防止対策を通じて死亡災害の増加に歯止めがかかるかどうかが焦点となっている。  9月末までに死亡した11人の業種別内訳は建築工事業が6人(前年同期と同数)、土木工事業が3人(1人増)、その他の建設業が2人(1人減)。事故の型別では「墜落、転落」が6人(5人増)、「はさまれ、巻き込まれ」が3人(前年同期と同数)、「崩壊、倒壊」が1人(1人増)、「激突され」も1人(1人減)で、とりわけ「墜落、転落」の増加が目立つ。建築工事業の死亡者は全て「墜落、転落」が原因だ。  東京労働局は建設業での死亡災害の急増を受け、7月25日付で建設関連団体や公共工事発注機関、大手建設事業者に労働災害防止対策の徹底を緊急要請。死亡者数は7月から8月にかけて前年を上回りながらも10人にとどまっていた。  その中で、9月に建築工事業に従事する60歳代の解体工(経験10年以上20年未満)が「墜落、転落」によって亡くなったことを把握したため、死亡者数は8月から1人増えて11人になった。被災者は建屋の屋根に足場の控えを取り付ける穴を開けようと、組み立て途中の足場を通路にして屋根上に移動していたところ、足場の6層目から約8㍍下の地面に墜落した。  一方、死傷した642人の業種別内訳は建築工事業が389人(62人減)、その他の建設業が153人(36人増)、土木工事業が100人(7人減)で、その他の建設業だけが増加。事故の型別では「墜落、転落」の181人(13人減)を筆頭に、「はさまれ、巻き込まれ」の91人(4人増)や「転倒」の82人(1人減)などが続く。業種と事故の型で見ると建築工事業の「墜落、転落」が117人(24人減)で最多だ。