9月豪雨で氾濫 谷沢川と立会川の対策は今

東京

9月11日の豪雨で谷沢川矢川橋観測所で氾濫が発生した(提供/建設局)

 9月11日に東京23区の都心部や南西部を豪雨が襲い、目黒区緑が丘で1時間当たり134㍉の雨量を観測した。これに伴い世田谷区や品川区などを流れる谷沢川と立会川が氾濫。立会川の沿川では家屋に浸水被害が出た。激甚化・頻発化する豪雨への対策が急務な中、都建設局は谷沢川で分水路の整備や河川改修を、都下水道局は立会川で雨水放流管の整備に取り組んでいる。それぞれの事業の進捗を追った。 ■谷沢川の分水路 来年度完了目指す  谷沢川は世田谷区桜丘付近から同区の南東部を南へ流れて多摩川左岸に合流する延長3・7㌔の1級河川。浸水被害の軽減に向け、建設局が毎秒50立方㍍の流下能力を持つ谷沢川分水路の整備や流下能力が不足する2区間の河川改修を実施する。  分水路は世田谷区玉川台1丁目地内~玉堤2丁目地内間をバイパスする内径5・5㍍、延長約3・2㌔のトンネル。高低差でポンプを使わずに雨水を地上に上げられる「ふかし上げ構造」を都の河川施設で初めて採用した。安藤ハザマ・東鉄・京急JVがシールド工法によるトンネルなどの工事を、フジタ・ホープJVが取水施設(世田谷区玉川台1丁目地内)の工事を手掛けた。  現在は福田組が分水路と下水道の雨水幹線をつなぐ導水管の工事(世田谷区玉川台1丁目地内)を26年2月19日まで、フジタ・ホープJVが放流施設(世田谷区玉堤2丁目地内)の工事を同年3月12日までの工期でそれぞれ担当している。  これらに続いて取水施設と放流施設にそれぞれ管理棟を設けたり、関連設備を整備したりするため、10月から26年1月にかけて合計20件の工事を順次発注。26年度の事業完了を目指しており、建設局の担当者は「都民の命と暮らしを守る大切な事業。着実に進めていく」と力を込める。  また、河川改修の対象2区間は田向橋~宮前橋(世田谷区中町3丁目地内)と利剣の橋下流~矢川橋(世田谷区等々力1丁目地内~野毛1丁目地内)のそれぞれ約0・2㌔。  このうち下流側の利剣の橋下流~矢川橋間は河道を掘り下げて、毎秒16立方㍍にとどまる流下量を毎秒40立方㍍まで引き上げる。23年度にセルコ(渋谷区)で基本設計を終えており、25年度にさくら(杉並区)へ河川区域図作成測量を委託した。これらの成果を基に世田谷区と協議を行って詳細設計に備える。状況を見ながら上流側に当たる田向橋~宮前橋間の事業にも着手する方針だ。   ■立会川の雨水放流管 早期通水へ推進  一方、立会川は目黒区碑文谷の源から品川区を東方に流れて勝島運河に至る延長7・41㌔の2級河川。起点(目黒区碑文谷1丁目付近)から月見橋(品川区東大井6丁目付近)までの暗渠区間6・66㌔を下水道局が立会川幹線として利用し、月見橋から勝島運河(品川区南大井1丁目付近)までの開渠区間0・75㌔は建設局が管理している。  開渠区間沿いには建物が密集しているため河川改修が難しい。そこで下水道局が開渠区間の直下に立会川幹線の雨水放流管を整備。第二立会川幹線の下流部を経由して放流先を京浜運河に切り替える。  雨水放流管は内径5000㍉2連の延長約780㍍で、清水建設がH&V工法を用いて造った。2基のシールドマシンを横2連で同時発進し、途中でらせん状にねじって縦2連で到達させる「スパイラル掘進」を世界で初めて実施した。  現在は清水建設が発進・到達立坑を特殊人孔にする「その4工事」を27年11月4日までの工期で担当。発進立坑の特殊人孔内では、暫定貯留管となっている第二立会川幹線の中流部(貯留量3・5万立方㍍)と下流部を一時的にパイプで接続して貯留量を増やすことにもしている。下水道局の担当者は「浸水対策などの効果を発現させるため早期の通水を目指す」と語った。