責任ない工期変更、47%で 工期不足で休日出勤、残業も
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国土交通省の2024年度の調査で、自社の責任でないにも関わらず工期変更された工事が「あった」と回答した建設会社が全体の46・6%に上ることが分かった。工程に影響した条件としては関連工事の有無や不稼働日、作業可能時間、支障物といった要素を挙げる会社が多かった。工期不足で作業員増員や休日出勤、早出・残業を迫られる会社も多く、工程の合理化だけでは対応が困難な実態も明らかになった。
契約後に自社の責任によらない工期変更があったとの回答は46・6%で、23年度の47・0%、22年度の51・2%からはわずかに減ったもののほぼ横ばいの状態だった。元請けが主の建設会社では39・6%だったのに対し、1次下請けが主の場合は58・5%、2次下請け以降が主の場合で57・1%となり、下請けの方が変更のあった割合が大きかった。
工程に影響した条件としては「関連工事」が53・7%で最も多く、次いで「不稼働日」が41・1%、「作業可能時間」が36・2%を占めた。この他、「工事支障物の条件」(23・8%)や「関係機関協議」(22・3%)、「周辺住民協議」(17・2%)といった要素を挙げる声が多かった。
工期不足への対応では、「作業員の増員」との回答が54・1%で最多。「休日出勤」も50・7%と半数を超え、「早出・残業」の41・2%が続いた。「工程の合理化」(28・4%)や、「プレキャスト化」(6・3%)、「機械施工の拡充」(5・5%)よりも大きな割合を占め、工期不足が時間外労働や休日出勤に大きく影響する実態が示された。
工程に影響する条件の明示状況について聞くと、提案時に「適切に明示されていた工事が多かった」との回答は48・3%にとどまった。「明示されていない工事が多かったがそのまま締結した」は25・1%。一方で、適切に明示されていなくとも「協議を行い明示してもらった」との回答も26・7%あった。
工期設定に関する注文者との協議では、天候を理由とした作業効率の低下や作業不能日の設定、資機材・設備の納期の影響、繁忙期を避けた工程などを理由とした工期の見直しを求める声が多かった。
具体的には、元請けが主の建設会社の場合、「熱中症対策で作業時間が短くなる」といった例や、「猛暑日の頻発する時期だったため、休憩時間の増加に伴う工期変更について協議した」といった事例があった。下請けが主の建設会社でも、「天候不順による不可抗力のため、工期延長を依頼。受け入れられなければ残業規制を超える」とし、交渉に当たった例があった。
