金子新国交相が会見 建設業の処遇改善に注力

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 金子恭之国交相が10月24日、建設専門紙との会見に応じ、第1次国土強靱化実施中期計画に基づく国土強靱化対策の推進に向けて臨時国会に提出する補正予算を念頭に「必要な予算を確保していく」と述べた。前政権が進めてきた建設業の処遇改善を引き継ぐ姿勢を強調し、「第3次担い手3法を全面施行し、適正な賃金支払いの原資となる労務費を行き渡らせる」と述べた。  ―国土強靱化対策をどのように進める。  「地元の熊本県は、2016年熊本地震、20年7月豪雨で被害を受けた。頻発する自然災害やインフラ老朽化のリスクに強い経済社会を実現するため、ハード・ソフト一体の事前防災を強化するとともに、予防保全型メンテナンスへの転換を加速する必要がある。このため、6月に決定した第1次国土強靱化実施中期計画を踏まえ、防災・減災、国土強靱化対策を全力で進める」  ―高市早苗首相から経済対策策定の指示を受けた。対応は。  「総理からは国土強靱化をしっかり進めるよう指示をされた。また、埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故を教訓に、国交省ではこのような事故を二度と起こさないという決意の下、下水道マネジメントの在り方を検討している。新規の社会資本整備の要望は大きいが、老朽化対策が予算全体に占める割合も高くなっている。実施中期計画に基づき、必要な予算を確保していく」  ―建設産業の役割をどう認識しているか。  「災害が頻発・激甚化する中、誰が初動を担うかと言えばそれは地域に根付いた建設業だ。防災協定に基づくパトロールや孤立集落の支援に駆けつける姿を目にし、大切にしなければいけないと思っている。建設業が地域の雇用、インフラ整備、災害対応を担っていけるような環境を整えなくてはならない」  「資材価格高騰分の価格転嫁や、労務費へのしわ寄せ防止により、処遇改善を進める。工期の適正化による働き方改革も進め、若い人たちが希望を持って入職してくれるよう対策を講じる」  ―外国人材の適切な受け入れに向け、課題は。  「まず、建設分野における人手不足は非常に深刻だ。しっかりとした基準に基づき、安全 ・安心の確保、言葉の問題を解消して外国人を受け入れることが重要だ」  「まず、処遇改善による国内人材の確保、ICT活用による生産性向上を進め、それでも生じる人手不足に対し、特定技能制度と育成就労制度に基づき、上限数の範囲で外国人材を受け入れる。月給制の義務化、受け入れ後講習などの建設分野独自の上乗せ措置も講じ、外国人材を円滑・適正に受け入れる」 【略歴】金子恭之(かねこ やすし)早稲田大学商学部卒。00年衆院選で初当選。岸田内閣で総務相を務めた他、副国交相、衆院国交委員長などを歴任。熊本県出身、64歳。