現場の週休2日どう進んだ? 元請け・下請け、職種で異なる課題
中央
時間外労働の上限規制が建設業に適用され、今年4月で2年がたつ。5年の猶予期間があったこともあり、懸念されていた大きな混乱はこれまでのところないが、土木・建築、元請け・下請け、技術者・技能者、職種の違いによって、現場閉所や休暇取得にまだまだ差がある。規制を順守するため、業界を挙げて取り組んでいる現場の週休2日はどのように進んでいるのか。建設業団体の調査結果から、建設業の休暇取得の進捗を見てみる。
■大手ゼネコン 現場閉所日数は平均7日超
日本建設業連合会(日建連)の調査結果を見ると、大手ゼネコンの元請け社員(作業所勤務)の休日取得は4週8休以上が89・4%と9割に達する水準だ(2024年度時点)。公共工事では週休2日対応が進んだ土木の91・7%と比べると低い傾向があるが、建築も87・2%と休暇取得が進んでいる。
現場の平均作業所閉所日は4週7・12閉所。4週8閉所以上の現場は61・0%と5年前よりも34・7ポイント上昇しているが、社員の休日取得数と比べると低い結果が出ている。現場は稼働していても、技術者は交代によって休日を取得する大手の実態がよく分かる。
■地域建設業 公共・民間で達成率に差
全国建設業協会(全建)の会員である地域建設業の調査結果(25年7月1日時点)を見ると、おおむね4週8休を達成できたと回答した会員企業は、最も高い公共土木で69・8%、最も低い民間建築では48・3%と20ポイント以上の差が出ている。ただ、現場で勤務する社員の平均残業時間は「月15時間未満」が69・5%を占め、労働基準法で定める月45時間を下回る回答が7割を占めている。
■直轄港湾工事 4週8閉所95%で達成
マリコン大手でつくる日本埋立浚渫協会(埋浚協)は、会員企業が施工している直轄工事の閉所実態を調査しており、4週8閉所以上の工事は全体の95%と高い達成率を示している。「完全週休2日+祝日」の閉所を達成した工事も62%に上り、他団体の調査結果と比べ、高い成果を上げている。
一方、技術者・技能者の休日の取得状況を見ると、港湾工事や海上工事では、施工が難しい荒天日を休日としているとの回答が24%ある。休日の判断が当日や前日になるケースもあり、埋浚協も今後の改善点に挙げる。
■技能者の週休2日 給与減少に懸念も
建設産業専門団体連合会(建専連)が25年3月に発表した調査では、会員企業の技能者が取得した休日について聞いた。この調査に対し、休暇取得日数を4週8休以上と回答した企業はわずか10・3%にとどまった。
日給月給制を採用している企業が半数を占める建専連の会員企業では、技能者の給与減少につながる週休2日対応に踏み切れていない。現場単位でも4週8休以上を「ほとんどの現場で確保していた」と回答した企業は8・9%となり、さらに低い傾向が出ている。
■設備工事 下請け受注で低い傾向に
建築工事の後工程となり、全体工期のしわ寄せが生じやすい設備工事の現場閉所は進んでいるのだろうか。日本空調衛生工事業協会(日空衛)の調査で、現場閉所実績を「4週8閉所以上」と回答した会員企業は44・0%。前年度の調査結果を6・0ポイント上回った。
全体として閉所実績は伸びているが、元請け受注か、下請け受注かによって大きな差がある。会員企業が元請けの現場で4週8閉所を達成した現場が59・4%だったのに対し、下請けだった現場では35・7%と、23・7ポイントの差がある。
■柔軟な働き方求める声も
元請け・下請け、職種によって差はあるものの、現場の週休2日対応は、規制適用前に比べて確実に進んでいる。その一方で、深刻な人手不足を理由に労働時間規制を緩和し、「柔軟な働き方」を求める声が徐々に強まっている。
35度以上の酷暑が連続した昨夏の気温上昇も、こうした声を後押しする。熱中症対策の義務化もあり、作業時間が大幅に短縮している夏季を休暇に充て、それ以外の時期に労働時間を振り分ける、柔軟な働き方が必要という意見だ。他産業でも規制緩和を求める声が強まっていることを踏まえ、昨年10月に発足した高市内閣では、厚生労働省に労働時間規制の緩和を検討するよう指示している。
