霞が関庁舎、増える築50年超 老朽化対応、自民議連も検討要請
中央
東京・霞が関に集中する中央省庁の庁舎の老朽化が進んでいる。霞が関にある庁舎のうち、完成から50年以上が経過している庁舎はすでに15棟あり、中でも戦前に完成した財務省本庁舎は築82年、農水省、林野庁、水産庁が入居する中央合同庁舎1号館本館は築71年がたつ。国庁舎の老朽化は地方でも進んでおり、国土交通省は「これまでの長寿命化だけでは対応が追いつかない」(大臣官房官庁営繕部)として、将来的な庁舎整備の在り方を検討する考えを示している。
現在、霞が関地区では、PFI事業を採用した内閣府新庁舎と旧日本郵政ビルをリニューアルする環境省新庁舎の整備が進んでいるほか、警察総合庁舎には改築計画もある。ただ、中央省庁の人員・定員は年々増加傾向にあり、新庁舎の建設だけではなく、民間借り受けや権利床の活用によって庁舎スペースを補っている。
さらに、高度経済成長期に完成した霞が関地区の庁舎は、築50年以上が経過したものが多く、老朽化が年々深刻になっている。ただ、中央省庁が集積する霞が関地区に都市計画の制限があることや、庁舎整備の予算が不足していることを理由に、これまで建て替えが積極的に検討されてこなかった。デジタル庁や子ども家庭庁に続き、26年度には防災庁の発足も控えており、庁舎の老朽化とスペース不足を解消するめどはたっていない。
地方でも、官庁施設の老朽化は深刻だ。複数の官庁が入居する合同庁舎は全国に約370施設、総延べ床面積は約400万平方㍍に上り、30年度以降、更新の検討が必要な築65年以上の合同庁舎も急速に増加する。更新には至らないものの、築30~39年を迎える合同庁舎も、今後10年で毎年の平均が9万9000平方㍍に上るなど、改修需要も高まる見通しだという。
10月21日、自民党の国会議員でつくる「官公庁営繕を考える議員の会」(営繕議連)は、官庁営繕関係予算の確保や地方自治体の発注適正化を求める緊急決議を行い、この中で、「老朽化庁舎の在り方について早急に検討」するよう要請した。 営繕議連の会長を務める井上信治幹事長代理は「霞が関の庁舎も築50年超が当たり前になっている。そろそろどのように建て替えるかということを本気で考え始めなければならない」と指摘。会合に出席した国交省の佐藤由美大臣官房官庁営繕部長も、「中長期的な庁舎整備の在り方を検討する」などと応じた。
