西武線・中井~野方連立 事業費415億円増、工期7年延伸

東京
 東京都は西武新宿線・中井駅~野方駅付近間の連続立体交差事業で現時点の事業費を約1635億円と見積もった。10月28日の事業評価委員会(委員長・中村英夫日本大学教授)に付議した再評価で明らかにした。2023年6月の前回評価時から約415億円の増で、物価上昇や施工計画の変更を反映。また、用地取得の遅れやシールド掘進計画の見直しにより、事業期間を7年延伸して33年度までに改める。この他に利島港・前浜地区のターミナル整備事業や伊豆大島の大金沢砂防事業、石神井川と神田川の大規模特定河川事業の再評価も付議し、合計5事業の全てで継続の了承を得た。  西武新宿線・中井駅~野方駅間(中野区)の連続立体交差事業は約2・4㌔を地下化して7カ所の踏切を除却する事業。13年度に事業認可を取得した。  事業費は前回評価時にも約482億円増やして約1219億円に引き上げていた。今回評価でさらに約415億円(うち都市側負担146億円)増の約1635億円とする。  増加分の過半に当たる約235億円は労務単価や資材価格といった物価上昇に伴うもの。また、シールド工事の作業時間や掘進速度を見直したことで事業費の積み増しが必要になった。約1635億円のうち44・4%を執行済みで、用地取得率は99・5%。  事業期間については前回評価時の26年度までから33年度までに延伸する。用地取得の大幅な遅れにより、現在はようやくシールドマシンの搬入・組み立てなどの準備工事に取り掛かった段階。シールドマシンの掘進速度や施工方法の見直しも影響した。事業完了前の32年度の供用開始を目指す。 ―島しょのターミナルと砂防、大規模特定2河川の事業も継続了承  利島港・前浜地区のターミナル整備事業(利島村)では、定期貨客船や高速船の就航率向上と乗降客の安全性向上などを目的に、岸壁と防波堤、護岸などを造る。1990年度にスタートし、防波堤以外の施設を2010年度までに完成させた。事業費は前回評価時(20年10月)から29億円増の251億円で、このうち77・1%を執行済み。増加の主な要因に石材や作業船舶などの価格高騰と、海上工事の能率を左右する船舶供用係数の大幅見直しを挙げた。  また、事業期間を3年延ばして31年度の完了を見込む。海上工事のため気象の影響を受けやすく、施工環境に制約があることから一定期間が必要だとしている。  伊豆大島の大金沢砂防事業(大島町)は1990年度に事業認可を取得した。流域面積1・29平方㌔を対象に、堰堤工、堆積工、山腹工、導流工、流路工を行って土砂災害を防ぐ。2013年の台風26号で土砂災害が発生したため、さらなる被害の防止・軽減に向けて施設整備を推進している。  事業費128億7600万円のうち93・4%を執行済み。用地取得率は97・8%。27年度末の完了に向け、残事業の堰堤築造を進める。  石神井川の大規模特定河川事業は練馬区石神井4丁目~関町東2丁目の590㍍が対象。時間50㍉降雨に対応する護岸の整備と区間内の橋梁の架け替えを行う。20年度に国土交通省が事業採択した。  事業費29億円のうち55・6%を執行済み。用地取得率は61・7%。残る護岸371㍍の整備と5橋の架け替えを進め、28年度の完了につなげる。  一方、神田川の大規模特定河川事業は杉並区和泉地内の護岸240㍍と同区下高井戸地内での調節池の整備が内容。19年度に国交省が事業採択した。  事業費35億2000万円のうち83%を執行済み。調節池の工事は完了しており、残す護岸174㍍の整備を行って27年度に完了させる予定だ。