地域建設業"集約"の議論も 安定的な経営巡り意見
中央
国土交通省が10月6日に開いた「今後の建設業政策のあり方に関する勉強会」で、地域建設業の経営の安定化を巡り、一定規模の会社への集約を求める意見が出た。委員の一人が、地方の公共工事で小ロットの案件をまとめて発注することなどを通じ、企業の集約を誘導するよう提案。5~10年単位のメンテナンス工事をはじめ、中長期の契約とすることが、経営の安定化にもつながるとした。
地域建設業は受注工事に占める公共事業の割合の大きな公共事業の在り方を巡っても議論が交わされた。小口工事の集約化を促す意見があった一方で、全ての工事の発注ロットを大きくすることは難しく、「全ての建設業者の規模が大きくなればいいという話しではない」との声も上がった。
勉強会では参考として、協力会社と資本提携して連携を強化した事例が報告された。M&Aやグループ会社化については、重層下請け構造の改善やダンピング防止などの社会的な意義を評価しつつ、「単純に規模の拡大を推し進めるという施策ではうまくいかない」とけん制する意見があった。経営者が一定規模以上の企業経営のノウハウを習得する機会の少なさを指摘する意見もあった。
地域建設業にとっての主要な発注者である自治体の課題もテーマとなった。ある委員は、受発注者をはじめ契約当事者の立場が対等であるとの感覚が、特に自治体で醸成されていないと指摘。地域建設業の在り方を政策的に誘導する際は、合わせて発注の在り方も含めた議論を求める声も出た。
自治体では、技術職員の不足が不適正な積算や発注関係事務、設計の品質低下といった課題を招いている。勉強会では、自治体工事の発注を円滑化させるため、地域インフラ群再生戦略マネジメントの推進を求める声があった。
元請けだけでなく、専門工事業を含めた業界構造も議論の対象となった。大きな割合を占める小規模事業者については、人手が足りず、キャリアアップのための研修・訓練機会を持てない課題などが指摘された。人口減少に対応するため、生産性向上が求められる中、小規模零細企業が大多数の現状に対し、「建設業界の在り方自体に限界が来ているのではないか」との指摘が出た。
勉強会は、建設業の持続的な発展に向け、求められる政策の方向性を考える場として国交省が設けた。今回は特に、中長期的な担い手確保、生産性の向上方策といった観点から地域建設業に焦点を当てた。
