元請けにCCUS活用支援 外国人の就業履歴蓄積へ
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建設技能人材機構(JAC)は、特定技能外国人の技能・経験に応じた処遇改善に向けて、建設キャリアアップシステム(CCUS)を活用した就業履歴の蓄積を支援する制度を11月4日から開始する。元請け建設業に対してCCUSカードリーダーの購入や、外国人技能者のカードタッチの費用を補助する。
11月4日から、JACのホームページで申請受付を開始する。支援メニューは事業者登録料と管理者ID利用料、現場利用料(タッチ費用)、ICカードリーダーなどの購入費用。日本建設業連合会か、全国建設業協会、全国中小建設業協会を構成する会員企業を対象とする。
詳細な支援内容を見ると、事業者登録料(更新料含む)は上限4万8000円で補助する。管理者ID利用料については、ID数1件(1万1400円)を上限とする。いったんCCUSの事務局である建設業振興基金に必要額を支払い、後日、JACが入金する形となる。
タッチ費用は、外国人技能者のタッチ(1人日・1現場あたり10円)のみを対象とし、25万円を上限に設定。カードリーダーについては、顔認証タイプの機器からスマートフォンを利用した簡易なものまで幅広く適用可能。カードリーダーなどの購入費用も、上限6万円の範囲内であれば、台数に制限を設けない。ただし、就労履歴の蓄積から利用状況を確認する。
JACはこれまでも、特定技能外国人を直接雇用する専門工事業を対象に、CCUS管理者ID利用料や能力評価手数料の全額支援サービスを実施してきた。今回、新たに元請け建設業者向けの支援制度を新設した。
JACは今回の支援サービスにより、外国人材が取得した資格や就業履歴を対外的に証明できるようにし、中長期的なキャリア形成を後押しする考えだ。外国人材の獲得競争が国際的に激化する中、就業履歴の蓄積を通じて処遇改善を促進し、外国人から見た日本の建設業の魅力を高める。
特定技能外国人には、CCUSの技能者登録や受け入れ企業の事業者登録が上乗せ措置として設けられている。育成就労制度の開始以降も、同様の措置が義務付けられる方向だ。
国土交通省は建設分野での育成就労の制度設計で、特定技能まで一環した外国人材のキャリアパスの形成を主要課題の一つに位置付けた。技能者の経験・保有資格に基づくCCUS能力評価を外国人のキャリア形成にも生かす方針を提示した。
これまで、カードリーダーの設置は大規模現場で先行している。JACによる今回の支援制度は、外国人が着実に就業履歴を蓄積できる環境整備の役割を果たすことになる。
