建設業で働く女性の増加 男女賃金差の縮小なるか
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性別により差別されず、母性を尊重されながら充実した職業生活を営む―。1986年に施行した男女雇用機会均等法の基本的理念だ。施行から40年が経過し、総労働力人口の半数近くを女性が占め、建設現場で働く女性も珍しくなくなった。一方、女性の正規雇用者数を表す「L字カーブ」という現象は、建設業の男女間格差を映し出している。
2000年代に建設投資が大きく減少したことに伴い、建設業全体の就業者数は10年に498万人とピーク時から3割減少した。その後の10年は横ばいで推移したものの、本格化する人口減少が直撃し、ここ5年は減少傾向にある。
女性の就業者数も10年に大きく減少し、69万人となったが、そこから現在まで微増傾向が続いており、24年の就業者数は87万人になった。女性就業者の7割は事務職だが、ここに来て女性技術者の増加が女性就業者全体の増加につながっているとみられる。
文部科学省によると、24年3月に大学を卒業し、建築・土木・測量に従事している技術者は1万3289人。このうち、女性は3417人となり、全体の4分の1を超えている。全体に占める女性の割合は、年々増加しているようだ=グラフ①。
一方、仕事と家事・育児・介護を両立するために、非正規雇用を選択する女性が増えることによって、20代後半以降、正規雇用労働者数が減少する「L字カーブ」が全産業で問題となっている。建設業でも、24年の役員を除く雇用者のうち、非正規雇用者の男性は男性全体の11・8%であるのに対し、非正規雇用者の女性は女性全体の32・3%と男性の3倍ほどになる=グラフ②。
また、L字カーブの現象は、男女の賃金格差にもつながっている。近年の建設業では、所定内給与額の平均額は増加傾向にあり、24年は35万2600円だった。一方、男女賃金差は8万9900円で、ここ数年、9万円前後で推移している=グラフ③
24年における男女の所定内給与額の差を年齢別に見ても、20~24歳の賃金差は7万8000円だったものの、25~29歳の賃金差は20万7000円、30~34歳になると60万9000円にまで差が広がっている。結婚や出産、子育てといったライフイベントが発生しやすい20代後半から、賃金格差が広がっていることが分かる。
女性活躍推進法の改正には、こうした背景がある。
■男女賃金差異の縮小を目指す 4月に施行
女性活躍推進法は、少子高齢化による労働力不足を解消し、働く女性が能力を発揮し続けられる環境を整備するため、10年間の時限立法として15年に成立。6月に成立した改正法では、男女間の賃金格差をさらに縮小することを目的として、法の有効期間を35年まで10年間延長した。
今回の改正では、労働者数が101人以上の事業主にも、女性活躍に関する情報公表を義務付ける。公表すべき情報は、男女間賃金差と女性管理職比率、厚生労働省が定めた項目の中から1項目以上=表。男女賃金差については、全労働者と正社員、パート・有期社員それぞれについて、男性の賃金に対する女性の賃金の割合を公表しなければならない。
情報を公表する際には、賃金差と管理職比率を記載する必要がある。現在の数値の分析や将来的な目標値などを備考として追記し、求職者の企業選択に役立てる。
また、働く女性の活躍推進に取り組む企業を評価する「えるぼし制度」も改善。認定企業数を増やすため、えるぼし認定1段階目の認定要件を緩和する。
現行制度では、厚労省が定めた項目についての実績を公表する他に、基準を満たしていない項目の実績が2年以上連続で改善していなければならなかった。4月からは、実績改善の要件が緩和される。全ての項目について、直近事業年度から3年前までの3年間と、直近事業年度の1年前から4年前までの3年間、直近事業年度の2年前から5年前までの3年間の実績平均値を比較し、改善していれば要件を満たすこととする。
この他、えるぼし認定、プラチナえるぼし認定を取得している企業のうち、女性の健康支援に取り組む優良な企業を評価する「えるぼしプラス(仮称)」を新設。生理休暇や更年期休暇、半日単位・時間単位の年次有給休暇などの導入、女性の健康上の特性への配慮に関する方針の策定と周知、他の労働者の理解醸成に向けた取り組み、相談窓口の設置などの要件を全て満たす企業を、えるぼしプラスに認定する。
