データでたどる 技術検定試験(2) 2級受験を就職の動機に 制度改正で若年層呼び込む
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2級技術検定は、より若い世代に受験しやすい環境を整えるための制度改正を繰り返している。進路の決まっていない高校生(2年生)も受験できる2級技術検定は、建設業に目を向けるきっかけをつくり、技術者を目指す動機を与える効果が期待できる。受験資格を段階的に広げたり、受験機会を増やすことにより、2011年度に7万人台にまで落ち込んでいた2級第1次検定(当時は学科試験)の受験者数は、直近の24年度に11万4294人にまで伸びている。
21年度に技術検定制度が再編され、2級技術検定の第1次検定に合格すると、国家資格である2級技士補を取得できるようになった。それ以前は、学科試験に合格しても、実務経験を経ないと実地試験(現在の第2次検定)を受験できず、学科試験の合格者には期限付きの学科試験免除の権利が与えられるだけだった。
建設業では、就職後3年以内に離職する高卒者が4割を超える。学科試験に合格しても、いったん離職して学科試験の免除期間を過ぎれば、学科試験を再度受験しなければならないが、技士補創設によって合格者には第1次検定が永久に免除されるようになった。
受験者にとって合格の〝重み〟が変わり、このことが若年層を中心に受験者数の増加につながっている。技士補が創設された21年度の2級第1次検定の受験者数は13万6851人と過去最高を記録している。
さらに2級技術検定の受験者数を押し上げたのは、17年度に始まった受験機会の年2回化だ。当時、2級学科試験(土木)の受験者は平均年齢が上昇しており、若年層をターゲットに受験機会を増やし、学科試験のみを年2回受験(前期、後期)できるようにした。
土木と建築の2種目で先行した年2回化により、17年度の受験者数は過去最高を記録している。
さらに受験機会を拡大するため、試験会場の拡大も検討されている。2級技術検定の試験が行われない県では、社会人であれば雇用する企業が交通費を負担することもあるが、高校生は自己負担で遠方の試験地に赴かなくてはならない。
こうした環境が、高校生の受験を妨げる要因の一つになっており、試験実施機関である全国建設研修センター(土木)と建設業振興基金(建築、電気工事)は、26年度の2級第1次検定の試験会場となる行政・教育機関を公募した。
採用に苦戦する建設業にとって、2級技術検定を受験する高校生は、潜在的な就職志望者だ。2級技術検定の受験者数の増加は、技術者を志す若年層の裾野(すその)を広げる波及効果をもたらす。
