ゾーン30プラス内通学路の7割に電柱 新設制限で安全確保を

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 国土交通省のまとめで、自動車の速度制限やハンプなどの整備により、歩行者の安全を確保する「ゾーン30プラス」区域にある通学路のうち、72%に相当する区間に電柱があることが分かった。通学路に電柱があると、児童らが交通事故に遭う危険性が高まる。この問題に対して国交省は、新設電柱の占用制限を掛けることなどで、安全な歩行空間を確保する考えだ。  11月12日に開催した無電柱化推進のための有識者委員会で、こうした考えを提示した。  2024年度末時点で全国に263カ所ある「ゾーン30プラス」区域について、国交省が調査したところ、通学路全体の延長280㌔のうち、72%に当たる区間に電柱があることが分かった。  通学路に電柱があると、児童らが電柱を避けるために車道にはみ出す可能性がある。また、歩道のない通学路では、電柱付近で車両が急ブレーキをかける動きが確認されており、国交省は歩行者と車両との交通事故リスクが高くなっているとみている。  多くの高齢者や障害者による徒歩移動が見込まれる「特定道路」でも、無電柱化の推進が必要だ。車いすと歩行者が安全にすれ違うためには、幅員2㍍以上の歩行空間が必要となるが、電柱があると有効幅員が狭くなり、歩行者らが車道にはみ出す可能性がある。国交省によると、特定道路のうちバリアフリー未対策の延長1230㌔には、全体の44%の区間に電柱がある。  国交省は、こうした歩行者のリスクを減らすため、新設電柱の占用制限を活用すべきとした。歩行者が多く、車道への歩行者のはみ出しが起きやすい歩道や、十分な有効幅員がない歩道は、この新設電柱の占用を禁止することができる。ただ、占用制限が掛けられているのは、全国でも延長65㌔に過ぎない。  電柱を地中化するために埋設空間の確保が難しい幅員の狭い道路では、迂回配線や排水側溝の活用により、無電柱化を進めることも重要とした。地上機器や特殊部については、小型化に向けた技術開発や、民地に設置するなどの工夫も必要だとしている。