渋谷クロニクル ―過去・現在・未来―(下)
東京
大規模再開発完了後のスクランブル交差点方面からの視点 提供/渋谷駅街区共同ビル事業者
渋谷駅周辺はこの先、どのような街になっていくのだろうか―。東急(渋谷区)とJR東日本(同)、東京地下鉄(台東区)が事業者として推進する大規模再開発「渋谷駅街区計画」では、渋谷スクランブルスクエアの開発や渋谷駅の改良、ハチ公広場などの整備を同時に進めている。
25年5月に渋谷スクランブルスクエア第Ⅱ期(中央棟・西棟)の建設に着手。中央棟は地下2階地上10階建て、西棟は地下4階地上13階建てで、総延べ床面積は約9万5000平方㍍。計画では30年度に渋谷の東西南北を結ぶ歩行者ネットワークが完成し、31年度に渋谷スクランブルスクエアの中央棟・西棟が完成する。ハチ公広場などを含めた全体の完成は34年度になる見通しだ。
また、29年度には東急百貨店本店の跡地に「Shibuya Upper West Project」の竣工を予定する。規模は地下4階地上34階建て延べ11万9000平方㍍(Bunkamuraを含む)となる見込みで、賃貸レジデンスやホテルを有し、隣接する「Bunkamura」から「Bunkamuraザ・ミュージアム」を拡大移転し、渋谷駅周辺エリアと松濤エリアとの結節点となる。
東急の渋谷開発事業部担当者の久我匠氏は「多様性のまち“渋谷”のポテンシャルを最大限引き出せるように、回遊性を高め、にぎわいの場を形成し、さらなる発展へのサポートを続ける」考えだ。再開発事業によって各鉄道路線への乗り換えやまちへのアクセスが飛躍的に改善し、これまで以上に渋谷の街は“歩きやすくなる”という。一方、渋谷駅は1日に約280万人が利用する。「お客さまの渋谷駅の利用を止めることなく工事を行うのは安全性に十分配慮する必要があり、細心の注意を払って進めている」。大規模ターミナル駅としての機能を保ちながらの工事進捗の難しさについて話す。
また、東急不動産(渋谷区)の都市事業ユニット渋谷事業本部担当者の神川裕貴氏も「渋谷という常に新しいことが生まれ続ける環境のサポートをしていくのがわれわれの役目だと考えている」と話し、渋谷の土台づくりに注力することで魅力や価値を高めていく方針だ。
渋谷区の加藤博是産業観光文化部長は「渋谷に訪れる観光客の数はコロナ禍前よりも多い。ただ、観光客の滞在時間は観光客数に比べて少ないのが現状」と課題を指摘。「スクランブル交差点の写真を撮って終わりではなく、文化的な施設やエンターテインメント施設に誘導する」ための対策を強調する。同様に駅周辺の観光公害(オーバーツーリズム)の問題も「区内の回遊性を高める動線をつくることで解消させたい」と話した。
多様な人が集まる渋谷は、再開発によって次なる転換期に向かっている。(東京支局=清水優)
